VectorBuilderが目指すAAV Superbankの構築
遺伝子治療の最前線において、VectorBuilderは新たなマイルストーンを打ち立てるために、驚異的な40.6億円を投資し、世界初のAAV(組換えアデノ随伴ウイルス)スーパーバンクの構築を発表しました。この取り組みは、従来の技術に革命をもたらし、遺伝子送達の効率を劇的に向上させる可能性を秘めています。
AAVの重要性
AAVは遺伝子治療の重要なツールであり、特定の細胞や組織へと精密に遺伝子を届ける能力を持っています。しかし、現状では12種類以上のAAVカプシドバリアントが存在するものの、それぞれのカプシドがどの細胞種に対して有効であるかは広く知られていないため、その適用範囲には限界があります。
また、特定の組織に対する効果的な標的化が難しく、大量のウイルスを投与する必要が生じており、これが治療効果に対するリスクやコストの増加につながっています。そこで、VectorBuilderは新たなアプローチが必要であると考え、新しいプラットフォームを開発しました。
革新的なスクリーニングプラットフォーム
VectorBuilderのチーフサイエンティスト、Bruce Lahn博士は、革新的なライブラリー構築技術とAIによるディープラーニングを融合させた非常に効果的なAAVキャプシドスクリーニングプラットフォームの開発について語ります。このプラットフォームにより、多様なカプシド配列を迅速かつ効率的に調査することが可能になります。
「NHP(非ヒト霊長類)を利用したスクリーニングラインがすでに構築されており、これを即時活用することができます。このスーパーバンクでは、NHPの結果が人間に翻訳され、さらに弊社のIT技術でデータベース化されます」とLahn博士は説明します。
新たに特定されたカプシドには、脳血液関門を高い効率で通過する能力を持つものや、特定の網膜細胞を標的とするものが含まれています。これにより、特定の組織に対する治療の精度が飛躍的に向上することが期待されています。
副作用の軽減とスクリーニングの重要性
Lahn博士は、NHPを直接スクリーニングプラットフォームとして活用し、主要な組織や細胞タイプを高効率で標的化するカプシドの大規模なパネルを開発する方針を明言。「また、遺伝子治療における副作用を軽減するために、毒性と免疫原性の低いカプシドを洗い出すことも計画しています」と語ります。
このプロジェクトの完成には数年を要すると予測されますが、急成長する遺伝子医学の分野において大きな貢献をすることが見込まれています。完成に向けての取り組みが今後どのように展開されていくか、注目が集まります。
VectorBuilderについて
VectorBuilderは、世界中の研究機関やバイオテクノロジー企業から信頼を寄せられている遺伝子送達技術のリーダーです。独自のオンラインベクターデザインスタジオを通じて、研究者はカスタムベクターを簡単に設計し、実装することが可能です。高い技術力に支えられて、VectorBuilderは今後も遺伝子医療の発展に寄与することでしょう。
公式ウェブサイト:
VectorBuilder