海事業界の新たな革新
2025年7月16日、東京において、海事向けのソフトウェアとデータサービスのプロバイダーであるNAPAが、株式会社エクサ(EXA)、株式会社スマートデザイン(SDC)、および日本海事協会(ClassNK)との連携により、「NAPA LC SDK」という新たな積付計算システム向けの標準インターフェースを開発しました。この技術的な進展は、海事業界におけるデジタルトランスフォーメーションをさらに促進するものです。
新システムの目的と利点
新しく登場した「NAPA LC SDK」は、設計および承認のプロセスで使用される積付計算ロジックを統一することを目指しています。特に、このAPIは海事業界の計算機ベンダーに共通のソリューションを提供し、業界全体のワークフローを効率化し、相互運用性を向上させる役割を果たします。
NAPA Japanの遥山誠氏は、積付計算機が船舶運航の安全性において重要な役割を果たすことを強調し、設計段階での強力な計算エンジンと3Dモデルの活用が海事業界のプロセスに革新をもたらすと述べています。
設計データの活用
NAPAの提供する技術的な革新の一つは、設計段階で使用される3Dモデルをそのまま積付計算に応用できる点です。これは、理想的な復原性計算モデルの自動生成も可能にするため、設計者が複雑な転記作業をする必要がなくなります。他のシステムでは通常、船舶設計者が手作業で2Dデータを別のモデルに移す必要がありました。
この新しいシステムにより、造船所での作業効率が向上し、コストも削減されることでしょう。株式会社スマートデザインの南康雄代表も、「多くの日本の造船所でNAPAを利用した設計が進められており、この新システムは船級承認のスピードアップにも寄与する」と期待を寄せています。
デジタルトランスフォーメーションの加速
2024年末にはNAPA LC SDKの開発が完了し、2025年にはEXAやSDCの積付計算機製品に統合される予定です。これにより新たな積付計算機が登場し、その商用展開が楽しみです。特にSDCの初のLC SDKを基にした製品は、5月13日に納品され、今後のさらなる進展が期待されます。
NAPAは、1990年代に船舶設計ソフトウェアを提供する企業として設立され、迅速な対応と高品質なサービスで業界をリードしてきました。現在、世界中で3,000隻以上の商船がNAPAのソリューションを利用しており、その技術力と専門知識が高く評価されています。
まとめ
NAPA、EXA、SDC、ClassNKによる共同開発は、海事業界の未来を支える大きな一歩です。この積付計算システムにより、設計から運航に至るまで安全性が確保され、さらには環境を考慮した持続可能な海運が実現されることが期待されます。海事業界のデジタル化が進む中、この新しいソリューションは今後、多くの企業や船会社にとって貴重なツールとなることでしょう。