日本の労働生産性、OECD加盟国で28位に留まる理由とは
日本生産性本部が12月22日に発表した「労働生産性の国際比較2025」は、我が国の労働生産性に関する重要なデータを提供しています。この報告書によると、日本の時間当たり労働生産性は約60.1ドル(5,720円)で、OECDに加盟する38カ国中、28位という厳しい結果が示されています。
労働生産性の国際的な位置づけ
「労働生産性の国際比較2025」は、OECDのデータを基に、日本の労働生産性がどの位置にあるかを明らかにするものです。2024年の日本における時間当たり労働生産性は、顕著な低下を見せており、物価上昇に関係なく、実質ベースでの生産性上昇率は-0.6%という数字が示されています。これにより、日本の労働生産性は過去数年間で上昇を続ける期待を裏切る形となっています。
人手不足から見る生産性向上の緊急性
特に、人口減少の影響を受け、さまざまな業種で人手不足が深刻化しています。この状況を踏まえ、生成AIなどデジタル技術の導入が重要な課題となっています。デジタル技術は、生産性を向上させる手段として大きな期待を寄せられており、企業が持続的に成長するためには欠かせない要素です。
競争力を高める必要性
日本の一人当たり労働生産性は98,344ドル(935万円)で、OECDの38カ国中29位です。この順位は変わっていないものの、主要先進7か国の中では最も低い水準にあります。特にスロバキアやニュージーランドと同じ程度の水準であり、競争力を向上させる必要があります。世界的に見れば、他国と比較して著しく低い水準は、日本の経済成長にとって深刻な問題を引き起こしています。
製造業における労働生産性の現状
さらに、製造業の労働生産性は80,411ドルで、OECD加盟国中20位に位置しています。イタリアやスペインと同水準であるものの、円安の影響もあり、ドル換算では過去のピークから大幅に減少しています。この状況は、日本が国際的に競争力を持つために乗り越えなければならない課題を浮き彫りにしています。
今後の展望
この報告書は、経済政策や施策の見直しを促すための貴重なデータとなります。日本生産性本部は、今後の改善に向けた情報を基に、政策の立案や施策の展開を目指すと共に、より高い生産性を実現するための道筋を示しています。また、持続可能な経済社会を構築するためには、賃上げや生産性向上が必要不可欠です。これらの要因を考慮に入れ、労働市場の質を向上させることが、今後の日本経済にとっての重要な使命となるでしょう。
今後、日本がどのようにして生産性を向上させていくかに注目が集まります。生産性向上は、経済の持続可能性を高め、国や企業の競争力を強化するために必要な課題であることを再認識する機会となりました。