KTCの次世代作業システム
2016-06-21 11:30:01
KTC、ウェアラブル端末連携の次世代作業トレーサビリティシステム開発本格化
KTC、ウェアラブル端末連携の次世代作業トレーサビリティシステム開発本格化
近年、鉄道車両や航空機といった大型輸送機器、プラント設備などの製造・保守現場では、精密な作業手順と記録が不可欠となっています。しかし、従来の作業管理は人手に頼っており、作業場所の特定、記録、作業方法の検証といった工程でヒューマンエラーのリスクがつきものです。
この課題に対し、株式会社KTCは、工具とウェアラブル端末をソフトウェアで統合した『次世代作業トレーサビリティシステム』の開発を本格化しました。本システムは、作業手順と記録のデジタル化によって、作業効率と安全性の向上、コスト削減、そして品質向上を目指しています。
この取り組みは、2015年から約1年間、中小企業庁の戦略的基盤技術高度化支援事業の支援を受けて研究開発が進められてきました。また、経済産業省のものづくり白書や近畿経済産業局の報告書でも、KTCのトルク管理ツール『デジラチェ[メモルク]』の事例が紹介されるなど、その技術は高く評価されています。
『デジラチェ[メモルク]』は、トルク値のデジタル化による作業工程の可視化を実現したツールです。今回の次世代システムでは、この『デジラチェ[メモルク]』とウェアラブル端末、具体的には株式会社ウエストユニティスのスマートグラス「InfoLinker」との連携が実現します。これにより、作業者はスマートグラスを通してトルク値を確認し、作業完了状態を自動撮影、RFIDを用いた締結ボルトの自動認識なども可能になります。これらの機能により、作業現場でのIoT化が大きく進展すると期待されています。
KTCは、6月22日から24日まで東京ビッグサイトで開催される第20回機械要素技術展に出展し、この次世代システムの一部を展示します。テーマは「工具大進化~Evolution of Tightening Tools」。スマートグラスを用いたトルク値確認や自動撮影、RFIDによる自動認識といったIoT機能を来場者が体感できる機会が提供されます。
KTCは、この次世代システムによって、製造現場における作業の効率化、安全性の向上、そして品質管理の高度化に貢献することを目指しています。本システムの開発は、日本のものづくり技術の更なる発展に繋がる重要な取り組みと言えるでしょう。今後の展開にも注目が集まります。
KTCの取り組みが示すもの
KTCの次世代作業トレーサビリティシステムは、単なる作業効率化ツールにとどまりません。それは、日本のものづくりにおけるデジタル化、IoT化の取り組みを象徴する存在です。高齢化が進む製造現場において、人材不足や熟練技術の継承といった課題は深刻です。このシステムは、そうした課題の解決策の一つとして期待されています。
また、本システムの開発には、政府機関からの支援も得られています。これは、日本の産業競争力の強化という国家的な視点からも、この技術革新が重要視されていることを示しています。今後、このシステムが日本のものづくり現場に広く普及し、国際競争力を高めることに貢献することが期待されます。
今後の展望
KTCは、今回のシステムを皮切りに、さらなる技術開発を進めていくと予想されます。AIや機械学習技術との連携による、より高度な作業支援システムの開発も視野に入れているかもしれません。将来的には、様々な製造現場、そして様々な業種への展開も期待されます。
会社情報
- 会社名
-
京都機械工具株式会社
- 住所
- 京都府久世郡久御山町 佐山新開地128番地
- 電話番号
-
0774-46-3700