日本ゼオン、新たな生産ライン増設
日本ゼオン株式会社は、氷見二上工場(富山県氷見市)において、液晶テレビ用位相差フィルムの新しい生産ラインを追加することを発表しました。この増設によって、拡大が見込まれる大画面テレビ市場に対する製品供給が増え、更には敦賀工場(福井県敦賀市)との2拠点体制がさらに強固になります。これにより、BCP(事業継続計画)の強化も図られる見込みです。
新ラインの完成後、ゼオンのテレビ用位相差フィルムの生産能力は約20%増加し、年間で26400万㎡に達します。新しい生産ラインは2025年12月に着工され、2027年の夏から量産を開始することを目指しています。
ゼオンの光学フィルム、通称「ゼオノアフィルム」は、ゼオン独自のポリマー設計技術によって開発された熱可塑性プラスチック(シクロオレフィンポリマー
)を原料に生産されています。このフィルムは、特に大型テレビやモバイル機器のディスプレイにおいて、視野角の補償や反射防止機能を付与する位相差フィルム用途で高い評価を得ています。
近年、ゼオンは液晶パネルの大型化が進む中で、既に敦賀工場において2500mm幅フィルムの生産を行っています。このたびの投資は、さらに旺盛な大型化ニーズに応えるものであり、最大130インチの液晶パネルに対応可能な世界最大級の3000mm幅フィルムを生産することが可能となります。
新たな建屋が氷見二上工場に建設され、年間4500万㎡の生産能力を持つ設備が導入されます。この増設が完了すると、2500mm幅以上のフィルム生産能力は14450万㎡となり、テレビ用位相差フィルム全体の生産能力は年間26400万㎡に拡大します。増設されたラインの量産開始は2027年の夏が予定されており、このための人員確保も進められています。
ゼオンは中期経営計画「STAGE30」において、COPを既存事業の一つとして強化する方針を掲げており、今後も市場のニーズに応え、人々の快適な生活に貢献することを目指しています。
シクロオレフィンポリマー(COP)とは:ゼオン独自に開発した「低吸水性」「低不純物」「低アウトガス」などの特性を持つ、透明性の高い熱可塑性プラスチックです。光学、医療、半導体搬送容器などさまざまな用途に使用されています。2025年には高岡工場内にリサイクルプラントが稼働し、2028年には山口県周南市に新しいプラントの運営を予定しています。ゼオノアフィルムは、COPを独自の技術で加工したもので、特に大型パネルにおいてその寸法安定性を活かしています。