アジア太平洋データセンター市場の展望
グローバル不動産サービスプロバイダーのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)が発表した『APACデータセンター市場アップデート』レポートによれば、アジア太平洋地域のデータセンター市場は2024年上半期に約1.3GWの新規供給を迎える予定です。これにより、同地域の稼働容量はまもなく12GWに達する見込みです。
この新規供給は、地域内での需要と供給のバランスが整いつつあることを示しています。この期間中、需要の増加に対して供給も同程度の水準であるため、安心して今後の成長を期待できます。さらに、地域全体で4.2GWが現在建設中で、12.0GWが計画されており、2023年下半期以降には2.8GWの成長を見込んでいます。
アジア太平洋地域は、その中でも特に中国、 日本、インド、オーストラリア、シンガポール、韓国が大きな役割を果たしています。上記6市場が地域全体の稼働容量の85%を占めており、それぞれが今後の成長を支える強力な開発パイプラインを有しています。
各国の成長トレンド
- - 中国本土は現在4.2GWの稼働容量を誇り、全市場のリーダー。
- - 日本とインドは、共に1.4GWを持ち、今後さらなる成長が予想されます。
- - オーストラリアは1.2GW、シンガポールは0.98GW、韓国は0.65GWと続いています。
特にマレーシア、特にジョホール州では2023年下半期から2024年上半期にかけて稼働容量が80%増加する見込みであり、インドも28%の成長が期待されています。これらの市場は、今後数年間の間に持続的な成長が見込まれています。
日本、インド、オーストラリアは、ともにクラウドサービスプロバイダーおよびコロケーションプレイヤーが投資を増やしていくとしています。日本とインドはそれぞれ4GW、中国本土は6.5GWで全体をリードしています。一方で、韓国は新たな電力使用に関する規制の影響で成長が限られる見込みです。
技術革新と環境への配慮
市場関係者はエネルギー効率向上やカーボンフットプリント削減に向けて、政策イニシアティブやインセンティブを実施しています。特に新しい技術の採用は、持続可能な成長に寄与する重要な要素となっているのです。
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによるアジア太平洋データセンター市場成熟度指数は、地域内の30市場において今後10年間の潜在的な進化を見込んでいます。この洗練された分析手法は、既存のキャパシティ、空室率、オペレーターの存在感などを考慮した結果に基づいています。その中で、東京、シンガポール、シドニー、香港、ムンバイ、ソウル、ジャカルタ、ジョホールなどの主要市場が取り上げられています。
特に、東京とシンガポールは、データセンター市場において今後注目される重要な地域となっています。また、マニラやバンコクなどの新興市場も将来的に市場にエネルギーをもたらす大きな可能性を秘めています。
デジタル時代の進展に伴い、アジア太平洋地域のデータセンター市場はますます重要性を増しており、今後の動向に注目が集まっています。