農薬スタートアップ成功
2020-01-16 08:00:06
国内初の農薬スタートアップ、約1億円の資金調達で研究開発を加速
アグロデザイン・スタジオ、資金調達成功の背景
アグロデザイン・スタジオは、国内初の農薬スタートアップとして、約1億円の資金調達に成功しました。この資金調達は、創薬型スタートアップが農薬開発においてベンチャー・キャピタルから資金を獲得する初めての試みです。一般的に、農薬開発は1剤当たり100億円以上の研究開発費がかかり、また10年以上の年月が必要となるため、非常に高いリスクを伴います。これまで、国内にはこのような新薬の研究開発を行うスタートアップは存在しなかったのです。
一方、医薬品の開発ではスタートアップとベンチャー・キャピタルがリスクを共同で負い、後半の開発を大手製薬会社が担当するというエコシステムが確立されています。アグロデザイン・スタジオは、これを農薬分野に応用することを目指し、資金調達を行いました。また、農水省の助成金や日本財団の支援を受けることで、研究開発を加速させることができる見込みです。
具体的な資金の使途
資金は、開発中の複数の農薬候補剤の改良に加え、温室試験や安全性試験に利用されます。また、チームメンバーの強化も図る予定です。特に、農薬の研究開発には創薬化学者の採用が重要であり、その分野での専門職を増員することに力を入れます。これにより、さまざまな科学分野やテクノロジーを活用した農薬の開発を促進していきます。
創業の背景とビジョン
アグロデザイン・スタジオは2018年3月に設立され、代表取締役の西ヶ谷有輝が東京大学や農研機構での研究経験を生かし、より安全な農薬の開発に取り組んでいます。近年、農業が環境に与える影響や農薬の安全性に対する懸念が高まる中、『99.8%の農地で使われる農薬をより安全なものに』というビジョンを掲げています。具体的には、散布すると環境汚染が減少し、作物の成長を促進する硝化抑制剤や、特定の害虫を選択的に退治する殺虫剤の開発を進めています。
アグロデザイン・スタジオの技術
同社が開発中の農薬には、低い毒性リスクと高い効果が求められています。具体的には、ヒトには存在しないタンパク質をターゲットにし、毒性リスクを低減することを目指しています。また、従来の農薬が抱える薬剤耐性問題にも対応するため、新しい作用機序を持つ農薬を開発中です。これにより、長期にわたって効果を維持することが可能です。
SDGsへの貢献
アグロデザイン・スタジオは、日本財団のアワード受賞を契機に、今後SDGsへの取り組みにも力を入れていく予定です。特に、環境負荷を低減する効果が期待される硝化抑制剤は、作物の収穫量向上を図りつつ、窒素肥料の汚染防止にも寄与します。これにより、農業が抱える環境問題に対する解決策を提供するとともに、消費者の生活の質を向上させる手段となるでしょう。
代表からのメッセージ
代表取締役の西ヶ谷有輝氏は、農薬が無ければ地球の人口を支えるのが困難になる一方で、そのネガティブなイメージを払拭するためには、スタートアップが必要であると強調しています。新しい農薬の安全性を確保し、消費者に安心な食品を提供するためには、スタートアップと既存企業との協力が不可欠です。未来への展望として、アグロデザイン・スタジオが社会に貢献できる農薬で新たな道を切り開くことに意気込んでいます。
投資企業のコメント
リアルテックファンドやインキュベイトファンドのコメントでも、アグロデザイン・スタジオの技術に期待が寄せられています。環境や健康問題を解決するため、革新的な農薬開発が示唆する未来に向けての期待が高まっています。彼らが目指す農薬スタートアップの成功を、我々も楽しみにしています。
会社情報
- 会社名
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株式会社アグロデザイン・スタジオ
- 住所
- 千葉県柏市柏の葉六丁目2番地3東京大学柏IIキャンパス産学官民連携棟303
- 電話番号
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