若年層の脱炭素意識の高まり
株式会社電通が実施した第16回「カーボンニュートラルに関する生活者調査」では、若年層の脱炭素に対する意識が顕著に上昇していることが明らかになりました。この調査は、15歳から79歳までの1400人を対象に行われ、特に15~19歳の若者たちの約36.2%が普段から脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいると回答しました。
若者の増加する取り組み意識
この36.2%という数字は、全体の22.7%という割合の中でも特に高いものであり、世代別で見ても他の年齢層に比べて際立っています。調査によると、50代における取り組み実施者はわずか17.0%にとどまり、15~19歳との間に19.2ポイントもの差が存在することが浮き彫りになりました。また、前回の調査においても、15~19歳の取り組み実施率は8.6ポイント増加し、過去最高の数値を記録しています。
必要性を感じない世代の増加
一方で、全体でみるとカーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向けた取り組みが「必要」と感じる人は63.9%と過去最低を記録しました。特に30代と40代では意識の低下が顕著であり、その必要性を感じないとする回答が増えていることが気になります。20代・30代の中でも「取り組みの必要性が分からない」と答える人が27.9%に達し、何がこの世代の意識を鈍化させているのかが根本的な問題として浮上しています。
COP29開催に対する認知の差
国際的な気候変動対策の場であるCOP29については、全体の約45.4%がその開催を認識していることも注目されています。中でも70代での認知率は70.4%に達し、60代(52.2%)、15~19歳(51.3%)と続きます。世代を超えた認知度の差が見られ、特に若年層の認知が向上していることは嬉しいニュースです。
妥当性を感じる認知
さらに、国連環境計画が発表した「このままでは世界の平均気温が今世紀末までに最大で3.1℃上昇する」という見通しについては、全体で38.3%が認知しているとのこと。特に15~19歳(49.3%)と70代(50.4%)では約半数が理解を示していますが、20代から60代はそれぞれ3割台に留まり、捉え方に明確な違いが出ているようです。
若者の意識的主導
調査担当者は、15~19歳の若者がカーボンニュートラルへ意識的に取り組む理由として、最近の教育制度の変化を挙げています。2020年度から小学校においてSDGs教育が導入され、環境意識が育まれつつある環境の中で、若者たちは気候変動を「自分ごと」として捉えやすくなっています。
行動のギャップ解消に向けて
こうしたデータを踏まえると、例えば忙しい日常の中で取り組みが難しいと感じる20代以上の世代に対して、無理なく参加できる仕組みや経済的なインセンティブを提供することが重要です。また、楽しみながら環境活動に取り組めるような環境づくりも大切です。「やらなければならない」という義務感から、「やってみたい」と思えるようなアプローチに転換することで、世代を超えた意識や行動のギャップを解消する手立てになりうるでしょう。
まとめ
現状の調査結果は、若者の脱炭素社会に向けた取り組み意識が映し出される一方で、年齢が上がるにつれ必要性を感じない者が増加していることを示しています。今後、世代間での意識の差を埋めるための取り組みが求められています。