AI技術でカスタマーサポートはどう変わるのか?
株式会社RightTouch(本社:東京都港区)は、東京科学大学と共同で、AIを駆使した「問い合わせ予測」に関する新たな研究に乗り出しました。このプロジェクトは、カスタマーサポートの領域でのAI活用を促進し、顧客体験(CX)の向上を目的としています。
何が背景に?
最近、カスタマーサポート産業におけるAIの導入が急速に進んでいますが、これまでの多くの取り組みは、問い合わせ後の効率化やFAQの自動生成にとどまり、顧客体験を根本から変えるようなものは少ないのが実情です。特に、「サイレントカスタマー」と呼ばれる、問い合わせをせずにサービスを離れる顧客への対応が重要な課題として浮上しています。
サイレントカスタマーは、顧客流出や売上の減少、そして商品やサービスの改良機会を逃す原因となっています。そのため、彼らのニーズにいち早く気付き、適切な支援を行うシステムの構築が急がれています。
RightTouchの挑戦
RightTouchは、カスタマーサポートに特化したSaaSを展開する企業で、訪問者のWeb行動データやVoC(Voice of Customer)を元に、顧客体験の向上をサポートしています。具体的には、複数のプロダクトを通じてこれらのデータを統合的に管理し、顧客との接点をデータドリブンでつなぐことが実現されています。
今回の共同研究では、これまで手動で行っていた問い合わせ発生前の行動分析を、自動で行えるアルゴリズムを開発することを目指しています。データは、顧客のWeb行動とVoCを元にし、問い合わせが発生する前に潜在的な課題を予測する仕組みです。
この結果、顧客が自ら解決策を見つけやすくなり、顧客体験の向上が期待されると同時に、サイレントカスタマーに対しても手を差し伸べられる可能性が広がります。
東京科学大学とのシナジー
今回の研究に参加する東京科学大学の藤澤研究室は、数理最適化や機械学習の分野で広く知られています。同研究室は、RightTouchが求めるカスタマーサポートデータ解析の方針と見事に合致していることから、共同研究が決まりました。
共同研究の内容としては、複数プロダクトで蓄積したデータの統合解析を行い、問い合わせ前に潜在する「困りごと」を推測し、最適なFAQやサポートチャネルを提案するモデルの構築が目指されています。ここでは、反実仮想機械学習と呼ばれる手法も用いられ、従来のアプローチでは収集できない幅広いデータを生かした新たな開発が期待されています。
期待される成果
研究が進むことで、「どの案内が、どのような状況で有効か」を明確にし、企業と顧客両者に利益をもたらすことが期待されます。RightTouchの豊富なデータと東京科学大学の機械学習技術を連携させることで、顧客が自己解決するプロセスを支援する手法を導き出し、サポート基盤の強化に寄与する見込みです。
このように、RightTouchと東京科学大学の共同研究は、今後のカスタマーサポートの在り方に大きな影響を与える可能性を秘めています。業界全体にとっても新たな基準となる取り組みとなるでしょう。
企業情報
RightTouchは、テクノロジーを駆使して顧客体験を最適化する企業として知られ、2021年に設立されました。「あらゆる人を負の体験から解放し、可能性を引き出す」というミッションを掲げています。今後の取り組みがどう社会に影響を与えるのか、注目が高まります。