欧州を代表するAvioとBULL、宇宙デブリ対策で協力を開始
株式会社BULLと欧州のロケット製造大手であるAvioが、小型ロケットVega-Cに宇宙デブリ対策装置「HORN」を搭載するための覚書(MoU)を調印した。この協力により、フライト後の宇宙環境の持続可能性を維持するための具体的な施策が進められることになる。
BULLとAvioの連携背景
宇宙産業における持続可能性の重要性が高まる中、Avioは最近、欧州宇宙機関(ESA)が提唱した「ゼロデブリ憲章」に署名した。これにより、同社は打ち上げ後にロケット各部品を計画的に軌道から除去することを目指す。この中には、特に再突入燃焼を利用して軌道をクリーンに保つAVUM上段ステージが含まれている。
Rocket Manufacturing Collaboratorとして知られるAvioは、小型ロケットVega-Cの開発運用を行っており、今回のBULLとの協力はその一環として位置づけられている。BULLが開発した「HORN」は、衛星を展開後の構造体に対する再突入を促進し、さらにデブリ化のリスクを低減することを目指している。
さらに進化する宇宙利用
BULLの代表取締役である宇藤恭士氏は、「地球内外の行き来を『当たり前』にする」というビジョンを持ち、宇宙時代におけるSDGs達成のための取り組みを進めている。彼は、「Avioのようなトッププレイヤーと連携できることは大変興奮することであり、持続可能な宇宙利用を通じて、具体的な成果を生み出していきたい」と語っている。
BULLは、宇都宮市を拠点に、産官学連携を通じて宇宙デブリ対策や微小重力実験衛星の開発に取り組んでいるスタートアップ企業であり、ほかにも多様な宇宙利用サービスの提供を目指している。
未来の宇宙のために
今回のBULLとAvioとの連携が実現することで、Vega-Cロケットが持ち得る運用性が一層強化されることが期待されている。特に、宇宙デブリの除去が進むことで、安全で持続可能な宇宙環境の実現が前進することになるだろう。この取り組みは、国際的な宇宙ビジネスの新しいモデルを生み出す可能性を持っており、他の企業や機関とのさらなる協力も促進されると考えられる。
このように、地球と宇宙を結ぶ未来の基盤を築くための第一歩が、今ここに刻まれた。宇宙産業の進化、政府の支援を受けた挑戦、そして持続可能な開発目標の両立。これから待ち受ける宇宙時代、次世代の宇宙開発がどのように進展していくのか、今後とも注目が集まる。
参考リンク
Avio社のプレスリリース
会社概要
- - 株式会社BULL: 宇都宮市に拠点を置く宇宙デブリ対策事業を展開。
- - Avio社: イタリアを本拠とするロケット製造会社で、持続可能な宇宙活動に貢献。