高齢者の健康管理をAIで見える化する実証実験が始まる
ケアビューアー株式会社(以下、ケアビューアー)は、フィンランドのAIモデル開発企業Gillie.AI社との連携により、高齢者の健康状態を可視化する「健康予測AI」の実証実験を2024年10月から開始します。この実証実験は、ケアビューアーが提供している介護記録ソフト「CareViewer」を介して、グループ会社の介護施設10か所で行われる予定です。
取り組みの背景
日本の高齢化が進む中、介護業界では介護職員の人材流動性が高まる傾向にあります。特に、外国人職員の増加は、コミュニケーション面での課題を浮き彫りにしています。実際、認知症対応型グループホームの管理者からは、ベテラン職員と新人職員との間で、高齢者の健康状態の微細な変化に気づくスキルに差が生じているとの声が上がっています。
また、小規模居宅介護施設の管理者は、高齢者の健康状態の変化を感覚的に察知するものの、その内容を他者に伝えることが難しいと感じていると述べています。これらの声を受け、ケアビューアーは客観的なデータを基にしたケアの質の標準化を目指すことにしました。
健康予測AIの特徴
健康予測AIでは、過去の介護記録に基づいたビッグデータを活用し、高齢者の健康状態を以下の3つの機能で予測します。
1.
健康状態の逸脱予測アラート通知
介護職員に対し、健康状態の危険を事前に知らせる通知が行われます。この機能により、ベテラン職員しか察知できないリスクも一般職員に伝えられます。
2.
健康状態予測一覧表示機能
最大5年間の健康状態の逸脱可能性を示すグラフを用意することで、介護職員は高齢者の健康傾向を一目で把握できます。
3.
介護職員・施設全体のケア傾向分析機能
個々の介護職員や施設全体のケアパフォーマンスを比較し、改善点を見つけやすくします。
実証実験の目的と内容
実証実験は、ケアの質を標準化する上での効果を検証するため、以下の内容を中心に実施されます。
職員が客観的なデータに基づき、健康リスクを認識できるかどうかを確認します。
職員が現場での利用において、予測された健康リスクをどのように活用できるかを評価します。
職員及び施設全体のケアのパフォーマンスがどれほど実際の現場に即しているかを検証します。
将来的な展望
2021年度には、高齢者の健康状態に関わる科学的介護情報システム(通称:LIFE)が導入され、データに基づく介護の必要性が高まっています。しかし、LIFEの実施にはいくつかの課題があります。 そのため、ケアビューアーは「健康予測AI」を通じて、リアルタイムでフィードバックを行い、高齢者の健康管理の質を一層向上させることを目指します。
2024年10月から始まる実証実験を足がかりにし、2025年2月には本格的な販売スタートを予定しています。これにより、介護福祉現場の生産性向上と質の標準化が期待されています。さらに、2025年からは新たな「個別介護計画書自動生成AI」も開発予定で、ケアの質をさらに向上させる取り組みが進められています。