千葉県における家庭系廃食用油活用事業
千葉県で家庭系廃食用油の回収と、その再利用を推進するSAF(持続可能航空燃料)導入に向けたサプライチェーン構築事業が、7社の共同によって始まりました。この試みは、地元のリソースを活用し、環境に配慮した持続可能な社会を実現するための重要なステップと言えます。
本事業には、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、三井不動産レジデンシャル、株式会社三井住友銀行、株式会社吉川油脂、株式会社野村事務所、そしてENEOSの7社が協力しています。特に注目されるのは、家庭から発生する廃食用油を効率的に回収し、これをバイオ燃料として再利用するための仕組みを構築する点です。
廃食用油の現状と課題
日本では、毎年約10万トンの家庭系廃食用油が発生していますが、その大半は再利用されずに捨てられています。この貴重な資源が燃料として活用されれば、環境負荷を軽減し、温暖化抑制にも寄与できます。しかし、回収と再利用のシステムが整備されていないため、実現が難しかったのが現実です。
事業の具体的な取り組み
この新たな事業では、千葉県内にあるセブン‐イレブンやイトーヨーカ堂の店舗、さらに三井不動産レジデンシャルが提供する大規模分譲マンションで、家庭からの廃食用油を回収します。回収された油は、まずバイオディーゼル燃料の製造に利用される予定です。その後、最終的には、回収された油が持続可能な航空燃料(SAF)として成田国際空港に供給されることを目指しています。
この取り組みは、地域社会に密着した形で資源循環モデルを確立し、成田国際空港をアジアのハブ空港としての地位を強化するための重要な試みでもあります。地域との連携を深めながら、未来世代に住みやすい地球を残すというビジョンを掲げていることにも注目です。
各社の役割と未来のビジョン
各社の主な役割は以下の通りです:
- - セブン‐イレブン・ジャパン:家庭からの廃食用油を回収。
- - イトーヨーカ堂:同上。
- - 三井不動産レジデンシャル:「幕張ベイパーク」内のマンションで廃食用油を回収。
- - 三井住友銀行:プロジェクトのコーディネートを担当。
- - 吉川油脂:廃食用油の回収とリサイクル、ENEOSへの引き渡し。
- - 野村事務所:廃食用油の取り纏め。
- - ENEOS:回収した油からSAFを製造し、さらには海外への販売も視野に入れています。
このシステムが確立されることで、千葉県は再利用可能な資源を増やし、地域を活性化させることが期待されます。今後の展開が注目されるこの事業は、日本全体にとっても、持続可能な未来を築くためのモデルケースとなるでしょう。
まとめ
家庭系廃食用油を活用したこのSAF導入推進事業は、千葉県が地域資源を活かし、環境に配慮しながら経済を循環させる取り組みの一環です。企業や自治体が協力して実施するこの事業が、地域社会のみならず、国全体に良い影響をもたらすことが期待されます。次世代への責任を果たすため、我々一人一人もできることを考え、行動していきましょう。