#国土交通省 #マンション管理 #再生促進

老朽化したマンションの管理と再生を促進する改正法案の全容

令和7年3月4日、国土交通省は「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための法案」を閣議決定しました。この改正法案は、マンションの新築から再生に至るライフサイクルを包括的に見通し、円滑な管理と再生を促進することを目的としています。

マンションの現状と課題

マンションは日本において、700万戸以上が存在し、多くの人々の居住基盤を支えています。しかし、外壁の剝落や管理体制の不備、さらには所有者間の合意形成の困難など、管理と再生にかかる課題が日々顕在化しています。このような状況を反映し、マンション管理の仕組みを見直す必要があります。

法律案の主要なポイント

この法案では、以下のような主要な取り組みが提案されています。

1. マンション管理の円滑化

- 管理計画の策定: 新築時に分譲事業者が管理計画を作成し、管理組合に引き継ぐ仕組みを取り入れることで、初期段階から適切な管理と修繕を実施します。
- 利益相反の解消: 管理業者が管理組合の業務を兼任する場合、自己取引については事前に区分所有者への説明が求められます。これにより透明性を確保し、不正行為を未然に防ぎます。
- 多数決による修繕決議: 集会出席者の多数決で修繕の決議を行えるようにし、意見がまとまりやすくなります。
- 裁判所による管理人選任制度: 管理不全に陥った場合、裁判所が選任した管理人が専有部分を管理できる制度を新設します。

2. マンション再生の推進

- 一括売却やリノベーション: 建物や敷地を一括で売却したり、リノベーションを実施する際には、多数決による決議が可能になります。
- 隣接地所有権の変換: 建替え後、隣接地や底地の所有権を区分所有権に変更できる仕組みが導入されます。
- 高さ制限の特例: 耐震性不足に伴う建替え計画などにおいて、特定行政庁の許可を得て高さ制限の特例が設けられます。

3. 地方公共団体の役割の強化

- 危険なマンションへの対応: 外壁剝落など危険な状態にあるマンションに対して報告徴収や助言指導を行います。
- 合意形成の支援: 区分所有者の意向を把握し、合意形成をサポートする民間団体の登録制度を設けます。

今後の展望

この法律案が成立すれば、老朽化したマンションにおける管理と再生が一層進展し、居住者の安心・安全な生活基盤を確保する道が拓かれます。国土交通省は、地域に合わせた取り組みを推進し、更なる支援を行っていく方針です。今後、各地方公共団体との連携を強化し、具体的な施策実施に向けた動きが期待されます。

このように、マンションのライフサイクルに対する包括的な視点を持つ今回の法改正は、今後の住宅事情に大きな影響を与えることでしょう。