金融庁が発表した証拠金慣行見直し報告書の内容と意義

金融庁は令和6年12月17日に、「証拠金慣行の見直し」に関するフォローアップ作業の最終報告書を公表しました。この報告は、バーゼル銀行監督委員会（BCBS）、BIS決済・市場インフラ委員会（CPMI）、証券監督者国際機構（IOSCO）、および金融安定理事会（FSB）の共同作業の成果となっています。

報告書の背景

この報告書は、前回の令和4年9月に発表された「証拠金慣行の見直し」の政策検討分野に関する追加分析を含んでいます。金融市場の安定性を高めるための重要な施策として、この見直しは様々な側面から検討されています。特に、中央清算市場における透明性や流動性の強化が求められています。

重要な政策検討分野

報告書では、以下の主要な政策検討分野が挙げられています：

1. 中央清算市場における透明性の向上
BCBS-CPMI-IOSCOが担当するこの分野では、透明性の向上が市場の安定性に寄与することを目指しています。

2. 初期証拠金モデルの市場ストレスに対する反応の評価
具体的には、変動証拠金プロセスの合理化と中央清算されない市場でのモデル評価が含まれます。これによって、ストレス時における市場の適応能力が検証されることになります。

3. 流動性に関する準備態勢および開示の強化
FSBがリードするこの部分では、市場参加者の流動性を確保し、必要な情報を適切に開示することで市場全体の信頼性を高めることを目指しています。

流動性の備えに関する最終報告書

さらに、FSBは12月10日に「証拠金及び担保請求に対する流動性の備え」というタイトルの最終報告書も公表しました。この報告書は、証拠金と担保の取り決めに関連する流動性の備えに関する意見をまとめています。こうした流動性の確保は、金融システムの安定性を高めるために極めて重要です。

今後の展望

これらの報告が示す施策が実施されれば、金融市場における透明性や効率性が向上し、国際的な協力も進展することが期待されます。関連する国際会議体（BCBS-CPMI-IOSCO、BCBS-IOSCO、CPMI-IOSCO、FSB）も報告書の内容を反映させつつ、更なる研究や議論を続けていく予定です。最終報告書は2024年1月から4月にかけて順次公表される予定です。