阪神淡路大震災から30年への意識
1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災は、日本国内で初めて震度7を記録し、兵庫県を中心に大きな被害をもたらしました。この震災を契機として、全国から多くのボランティアが集まり、後に「ボランティア元年」と称される年を迎えることになりました。
2025年にはこの災害から30年が経過します。そこで、当時のことを振り返り、その記憶を伝える重要性が高まっています。過去の災害の理解は、現在の防災や共助の意識を高めるきっかけとなるからです。
日本赤十字社では、全国で約83万人のボランティアが活躍しており、地域に密着した多様な支援活動を展開しています。これに伴い、阪神淡路大震災に関する認知度やボランティアに対する意識を探るため、10代から60代以上の男女1,200人を対象とした調査が実施されました。この調査結果は、2024年11月に行われました。
調査結果の概要
調査の結果、全体の89.3%が阪神淡路大震災を知っていると回答しましたが、発災日を知らない人は39.7%に達しました。この中でも66.4%は10代~30代が占めており、若年層における認知度の低さが浮き彫りになりました。また、「ボランティア元年」という認識についても、75.7%が知らなかったことが示されています。
一方、過去の震災に関する報道から受けた影響について尋ねたところ、63.2%が防災に対する考えや行動に変化があったと答えました。その内訳では、新たに防災備蓄を始めた人が43.5%、ハザードマップを確認した人が41.8%、既存の備蓄を見直した人が36.3%でした。
また、ボランティア活動について、58.3%が「被災直後の短期間・集中的な支援が最も重要」と考え、62.8%は「混乱する被災者にかわって復旧を推進する倫理が必要」とありました。これを踏まえ、全国的に意識が高まっていることが感じられますが、状況に応じた行動が求められることも忘れてはいけません。
次世代への教訓
調査結果から明らかになったのは、現在の若い世代では阪神淡路大震災の出来事に対する認識が難しく、ボランティア活動が重要であるという認識が薄いことです。一方で、防災への考え方に対する意識は高まっていることから、メディアを通じた情報発信の重要性が再確認されます。
日本赤十字社は、災害時の医療や救護活動を実施している団体として、災害に対して寄り添った活動が求められています。番組や報道を通じて過去の教訓を次世代に伝え、災害発生時に迅速かつ適切に行動できるよう備えを進める必要があります。
今後の取り組み
阪神淡路大震災の経験を忘れずに、日常的な防災教育や情報共有を継続することが重要です。日本赤十字社では「ボランティア活動の安全管理ガイド」を含む情報提供を行い、参加者が安全に活動できる環境づくりに力を入れています。災害時のボランティア活動は、個人としてだけでなく、地域全体での支援体制を築くための重要なコツでもあります。
この30年を機に、被災地に寄り添う意識を新たにするための取り組みが求められています。災害の教訓を学び、より良い未来に繋げるための担い手として、多くの方々の参加が期待されています。