リンクメッド株式会社が15億円調達
リンクメッド株式会社(千葉県千葉市)は、がん治療の革新を目指して開発中の新しい放射性医薬品のために、シリーズBファーストクローズで合計15億円の資金を調達することを発表しました。この資金調達により、同社の累計調達額は約26億円に達しました。
新しい治療法の開発
がん治療における既存の放射線治療や化学療法は、限界があると言われています。特に、治療効果の不足や正常細胞への副作用が大きな問題とされています。そのため、リンクメッドは、放射性同位体64Cu(銅-64)を用いた新しい放射性治療薬の開発に着手しました。この64Cuは、特にがん細胞のDNAに対して高エネルギーで効果的に作用し、特定のがん細胞に結合することで、治療効果を高め、副作用を抑えることが期待されています。さらに、陽電子を放出するため、陽電子放射断層撮影(PET)診断により、治療中の薬剤の集積状況を把握することができます。
臨床試験と量産体制の構築
リンクメッドは、第一号製品である64Cu-ATSM(LM001)のために2024年6月から、再発・難治性悪性神経膠腫の患者を対象にした臨床試験を開始する予定です。この試験は医師主導で行われ、がん治療における新たな突破口となることが期待されています。また、64Cuを用いた医薬品の国内供給体制の構築に向けて、千葉市にサイクロトロンと製剤設備を備えた工場を建設中です。
資金の使途
このシリーズBで調達した資金は、主に以下の目的に使用されます:
- - LM001の第三相試験の実施、および新しいパイプラインの開発や研究。
- - 工場の運営費、64Cuの製造体制の確立。
- - 研究開発や工場運営、人材採用を通じた組織機能の強化。
代表のコメント
代表取締役社長の吉井幸恵氏は、「既存株主の皆様に加え、新たな投資家の方々にご参加いただき、今回の資金調達を行いました。この資金をもって、現在進めている第III相試験を加速させ、再発悪性神経膠腫の患者様に一日でも早く薬を届ける体制を整えます」と意気込みを語りました。
出資者の期待
新規出資者であるJICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社のベンチャーキャピタリスト林隼氏は、「リンクメッドが提供する放射性同位体64Cuによる新たな医療は、日本の健康長寿社会に貢献すると信じています」と述べました。また、DBJキャピタル株式会社の安田順信氏も、64Cu-ATSMが世界初のがん治療薬としての実現に向かって進展している点に高い評価を示しました。
リンクメッドについて
リンクメッド株式会社は、「Link for Life-最先端科学と医療をつなぐ」を企業のミッションとして、64Cuを用いたがん治療薬の開発に取り組む研究開発型企業です。量子科学技術研究開発機構での研究を基に設立され、革新的ながん治療技術で社会に貢献することを目指しています。公式サイトは
こちらです。