一般社団法人 日本ブロックチェーン協会(JBA)は、2025年度の暗号資産に関する税制改正要望をまとめ、7月19日に政府に正式に提出しました。この要望は、現在の税制が日本のウェブ3産業の成長にとって大きな障壁となっていることを背景にしています。
ブロックチェーン技術は次世代インターネットと位置付けられ、その進化は日本のみならず、世界全体の経済成長にも大きな影響を与える可能性があります。しかし、日本では推定4.5%の国民が暗号資産を保有しているに過ぎず、これは他の主要先進国や世界全体の平均を大きく下回っています。
この原因の一つは、日本の暗号資産に対する税負担が非常に高いことです。特に、所得税は国際的に見ても他の金融資産と比較しても高い水準にあり、そのために暗号資産市場への参入が難しくなっています。
JBAはその改善に向けて4つの具体的な税制改正要望を政府に提出しました。具体的には、以下のような内容です。
1.
申告分離課税・損失繰越控除の導入 これは、個人の暗号資産取引にかかる利益に対する課税方法を総合課税から申告分離課税に変更し、税率を一律20%に設定し、損失を出した場合にはその損失を繰り越せるようにするという要望です。
2.
暗号資産同士の交換時の課税撤廃 暗号資産同士を交換する際の所得税の課税を撤廃することで、よりスムーズなトランザクションを実現し、利便性を向上させることを目指します。
3.
暗号資産を寄附した際の税制整備 寄附に関しても、個人と法人それぞれの暗号資産に対しての税制を整備し、公表することを求めています。
4.
特定譲渡制限付き暗号資産の見直し これにより、法人が保有する特定の暗号資産に対する課税方式を検討し続けることが主眼とされています。
国内でも暗号資産口座数は着実に増加し、2024年4月には1000万口座を突破する見込みです。これは、暗号資産が一般的に広がりつつあることを示しており、特に税制の緩和が求められています。国際的な競争が激化する中で、Web3が日本の基幹産業として成長するためには、税制改正が欠かせない課題です。
JBAは、暗号資産市場の成長と流動性向上を図るために、税制の見直しが早急に行われることを強く要望しています。JBAの設立は2014年で、以来日本におけるブロックチェーン技術の普及と発展に貢献してきました。また、様々な業種からの法人が会員となっており、業界全体の発展を目指しています。
このように、JBAの活動は日本におけるブロックチェーンの未来に大きな影響を与えると期待されています。新たな税制が実現することで、より多くの人々が暗号資産市場に参加し、経済の活性化につながることが期待されます。