豪州におけるVecco社の進展
当社は、再生可能エネルギーの推進に向けて、重要鉱物であるクリティカルミネラル事業に本格的に取り組む姿勢を示しています。その一環として、2022年から豪州のVecco社に対して出資を行い、今回過半数の出資を決定しました。これにより、出資総額は7500万豪ドルに達します。
クリティカルミネラル事業の重要性
国際エネルギー機関(IEA)が発表した2024年の世界エネルギー見通しによると、各国の脱炭素化目標に伴い、2035年までに世界の電力需要は過去10年間の成長率の6倍に達すると予測されています。特に、再生可能エネルギーの役割が重要となり、発電の約半分を担うとされています。これにより、効率的な送電網と電力貯蔵システムへの投資が急務となっています。さらに、COP28での合意に基づき、2030年までに3000GWの再生可能エネルギー発電容量を確保する必要があるとされています。
日本においても、エネルギー基本計画に基づく議論が進行中で、再生可能エネルギーを主力電源とし、出力変動に対応する蓄電システムの必要性が強調されています。
バナジウム・フロー電池の特性
今後、導入が必須の蓄電システムの中で、バナジウムを用いたバナジウム・フロー電池(VFB)は特に注目されています。VFBはバナジウム電解液にエネルギーを蓄えることができ、電池容量の大型化が容易です。また、劣化が少なく長寿命で、発火のリスクも無いため、安定した電力系統用の蓄電池として非常に適しています。特に、太陽光など天候に左右される再生可能エネルギーと組み合わせることで、その利便性が大いに向上するでしょう。
Vecco社のプロジェクトについて
Vecco社はオーストラリアのクイーンズランド州で、バナジウム鉱山とVFB用電解液プラントに取り組んでいます。プロジェクト名はDebella Projectで、地元で採取した鉱石を用いて、五酸化バナジウムを精製し、VFB用電解液を製造するサプライチェーンの構築を目指しています。
同社は、2023年6月に豪州初の商業規模のバナジウム電解液製造施設を稼働開始しました。今後、2025年早々にはバナジウム鉱山開発に関する詳細な事業化調査を開始し、2026年からは採掘施設の建設を実施し、2027年には操業をスタートさせる予定です。また、精製した五酸化バナジウムは豪州国内に限らず、アメリカを含む海外市場への輸送も計画されています。
結論
豪州はバナジウムやリチウムなど多くのクリティカルミネラルが豊富に存在する国です。当社は過去45年間、豪州での石炭鉱山の運営に従事しており、現地のニーズに応えつつ、Vecco社と共に関連プロジェクトを進めることで、再生可能エネルギーの導入拡大に寄与することを目指しています。これにより、国内外におけるクリティカルミネラル事業の拡大に貢献していきたいと考えています。