近年、インフラの点検においてドローン技術の導入が進んでいます。その中でも、株式会社Liberawareが富山市上下水道局と連携して実施した試験点検が注目を集めています。
このプロジェクトは、富山市内に約3,200kmも延びる水道管を対象としており、特に人が立ち入ることができない危険なエリアでの点検を効率的に行うことを目的としています。使用されたのは、同社の小型ドローン「IBIS2」です。このドローンは狭く暗い空間での点検が得意で、今回の試験では浜黒崎浄化センターや貯留池など複数の地点で運用されました。
検証の目的とプロセス
富山市上下水道局が運営する施設内において、人間がアクセスできない場所や危険なエリアの点検を行うためには、従来の方法では限界がありました。IBIS2を活用することで、これらのエリアでの点検が可能になるかどうかを調査しました。試験は具体的には、浜黒崎浄化センターの地下管廊、牛島貯留池、仲井川第1貯留池の3地点で行われました。
結果の概要
点検の結果、暗い地下の環境や有毒ガスの発生リスクという厳しい条件においても、IBIS2は効果を発揮しました。具体的には、富山駅付近の貯留池では、最大1300立方メートルの雨水を収納できる内部を確認。水墨美術館近くの地下貯留地では、30cm四方の狭い空間を通過し、中の状況を詳細に把握することができました。また、浜黒崎浄化センターでは、地下管廊に架設された配管の状況をリアルタイムで確認することができました。
これにより、従来の点検方法に比べて業務の簡便化、さらには作業員の安全性の向上や点検作業の効率化が実現できる可能性が示されました。
今後の計画
本実証実験の成果を受け、Liberawareは富山市上下水道局との連携を一層深め、ドローンによる点検技術の導入を進めていく方針です。さらに、このドローン技術は他の自治体や企業との連携にも広がる見込みです。これにより、DXソリューションとしての技術基盤を確立し、全国に展開していくことを目指しています。
担当者のコメント
富山市上下水道局の担当者も、「思いのほか映像が鮮明で、設備の不具合の早期発見につながることを期待している」と話しており、今後の更なる連携が期待されています。
会社紹介
株式会社Liberawareは、狭く暗い危険な空間での点検に特化した小型ドローンの開発を行っています。AI技術を駆使した点検ソリューションを提供し、社会の安全性を向上させることを使命としています。