アリピン株式会社が250万ドルの資金調達を実施
台湾に本拠を置く医療DXスタートアップ、アリピン株式会社(AlleyPin)は、2024年10月にシリーズAラウンドで250万ドル(約3億7,530万円)を調達しました。この資金調達は、同社が医療機関のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、国際市場への進出を加速させるための重要なステップとなります。
医療のデジタル化を牽引するアリピン
アリピンは「人」を中心に据えた企業理念を掲げ、スマート医療技術を活用したソリューションを提供しています。これにより、医療機関の運営効率を向上させることはもちろん、患者の満足度や信頼を高め、長期的な関係を築くことを目指しています。
初めて行われたメディア発表会では、同社の製品イノベーションや市場導入状況、将来の発展計画、国際戦略が紹介されました。アリピンは、特に日本市場の開拓に注力し、調達した資金を市場開発や製品研究開発、多様な人材の採用へと充てる考えです。
資金調達の背景と投資家
今回の資金調達には、基石創投(Cornerstone Ventures)がリード投資家として参加し、CDIB Cross Border Innovation Fundをはじめ、様々な投資家が名を連ねました。基石創投のマネージングパートナー、林子樸氏は、アリピンの医療デジタル化分野でのポテンシャルを評価し、革新的な技術がクリニックの実際のニーズに合致している点を強調しました。
現在、アリピンは台湾内の1200以上のクリニックで導入され、様々な医療分野にわたって患者管理プロセスの最適化を図っています。特に、歯科や内科、美容医療などの領域で実績を上げており、4000万人以上の患者にサービスを提供してきました。
日本市場での初期成功
日本市場での進出にあたっては、現地パートナーと協力し、短期間で20以上のクリニックへの導入を成功させました。さらに、50以上のクリニックが現在、導入に向けて交渉中または試用中としています。アリピンのCEO、周翊軒氏は、日本と台湾が類似した医療システムを持っていることから、現地医療機関から高い評価を得ていると述べています。
デジタル化がもたらす医療の変革
AlleyPinは、デジタルツールを駆使し、クリニックの運営効率を高めるだけでなく、医療体験の向上にも力を入れています。その一環として、自社のPRMシステム「1.Talk」を開発し、患者との関係を管理し、スムーズなコミュニケーションを促進しています。このシステムを利用するクリニックでは、再診率が約72%に達し、患者の推薦率も88%と高い数字を記録しています。
また、アリピンはオンライン予約や相談サービスも展開しており、特に「PinMed」機能は患者がGoogle Mapsを通じて簡単に予約を行える利便性を提供しています。さらに、休診時間中の予約件数の増加も明らかになっており、デジタル予約サービスへの需要が示されています。
継続的な成長と市場開拓
アリピンは、今後の成長に向けて日本市場を中心にさらなる展開を計画しています。技術を通して医療機関の効率を高め、医療従事者が本来の治療提供に専念できる環境を整備し、患者との距離を縮めることが目標です。
AlleyPinは、台湾での成功事例をもとに、日本をはじめとしたアジア地域全体での市場開拓に力を入れ、未来の医療シーンに革新をもたらす存在として成長を続けていくことでしょう。これからの動向に注目です。