大阪芸術大学に新たな動物体験施設がオープン
大阪府南河内郡に位置する大阪芸術大学が、2025年10月1日(水)に動物ジオラマ館『芸大Zoo』をオープンすることが決定しました。この新しい館では、アフリカや北アメリカに生息する動物の剥製を、ジオラマ形式で展示します。特に注目すべきは、日本の動物園では見かけることのない希少な動物たちであり、その剥製の数は58体に及びます。また、剥製の頭部や毛皮、角や骨も展示される予定です。
『芸大Zoo』は、3つのジオラマエリアと動物を種ごとに展示するエリア、さらに剥製の頭部を展示するエリアから構成されます。これらの展示物は、動物の生態や生息環境をよりリアルに感じられるような工夫が凝らされています。特に、ボンゴやヘラジカは、世界的にも珍しく、訪れる人々に新たな体験を提供してくれるでしょう。
開館に向けた取り組み
大阪芸術大学では、開館に先立って『芸大Zoo』の魅力を伝えるレポートを発信しています。第1弾では、アフリカでの現地調査の様子を紹介しましたが、今回公開された第2弾『建設中編』では、完成に向けた建設の進捗が語られています。
7月初旬には、大学内の31号館の入り口に、デザイン学科長である高橋善丸教授によるロゴマークが設置されました。このデザインは、『芸大Zoo』の展示内容をイメージさせるもので、開館に向けての意気込みを感じさせます。
7月末には、滋賀サファリ博物館から剥製の輸送が行われ、『芸大Zoo』の展示内容の準備が着々と進行しています。展示では、ジオラマの背面壁に剥製の頭部が設置される予定で、観客が動物たちの特徴や大きさを実感できる工夫がされています。
ジオラマの制作過程
ジオラマ制作は、まずアフリカで撮影した背景写真のパネルを設置することから始まります。これによりサバンナや森林の雰囲気が醸し出され、実際の生息地を想像させることが目的です。さらに、動物を配置するための床面を高く設定し、観客の視線よりも少し高い位置に動物を配置することで、その迫力や生き生きとした姿を感じやすくしています。
背景のパネルと床面の接合部分にもこだわりがあるため、特に注意を払って仕上げが行われています。例えば、森林のジオラマでは、森と地面が自然に繋がっているよう、地盤の高さは何度も調整されました。
また、草原の擬草制作には、実際に淀川の河川敷へ出向いて、イネ科草本のモデルをスタッフと共に探すなど、現地の生態に基づいた制作が行われています。これにより、風景のリアリティが増し、動物たちが本来の生息環境にいるかのような印象を与えることが期待されています。
剥製の配置作業
剥製の配置は非常に神経を使う作業です。微妙な向きや位置が生態系の雰囲気を左右するため、慎重に配置作業が行われます。背景写真と動物の配置が調和を保ちながら、数日かけてじっくりと決定されます。この配置によって、風景に命が吹き込まれ、観客に動物たちの生き生きとした姿を体感させることができます。
開館日を楽しみに!
『芸大Zoo』は、10月1日(水)12:30からの記念式典を経て正式に開館します。訪れる皆様には、その迫力ある展示を直接体感していただけることを楽しみにしています。この新たな施設が、動物たちの魅力を伝え、学びの場ともなることを願っています。施設の完成までの詳細情報は、大阪芸術大学の公式サイトで随時発表されますので、ぜひチェックしてみてください。
執筆者: 大阪芸術大学 教養課程主任教授 若生謙二
プロフィール:
1978年に信州大学大学院を修了後、東京大学で農学博士の学位を取得。日本各地の動物園での生息環境の展示を手がけ、数々の賞を受賞しています。動物と人間の関係についての研究に取り組む一方、動物園デザインにも力を入れています。