日本初の水中ドローン専業メーカーが資金調達に成功
近年、ドローン市場は空からの撮影や探査が容易になり、様々な分野で利用されています。しかし、水中での探査はまだまだ複雑で高コストな技術が求められています。日本の水中ドローン専業メーカー、株式会社空間知能化研究所が、1.9億円という大規模な資金調達を行ったことを発表しました。この資金調達により、同社は業務用の水中ドローンの普及を加速し、水中探査のハードルを下げることを目指します。
資金調達の背景と今後の展望
水中での探査や撮影が難しい理由の一つは、潜水士の潜行能力が約40mまでに制限されているからです。当たり前ですが、深い海底での情報収集には高額で操作が難しい遠隔無人探査機(ROV)が必要です。そんな中で、日本国内では水中探査機器を開発する企業がほとんど存在せず、そのため探査機器の価格は高止まりしています。最近では、ダムや港湾の維持管理の重要性が高まってきたため、手軽で効果的な水中探査のニーズが急増しています。
空間知能化研究所は、このニーズに応える形で2017年11月から水中ドローンのレンタルサービスを開始し、この春には国内外に向けた販売を計画しています。
新水中ドローン「SPIDER」の特徴
この春にリリース予定の水中ドローン「SPIDER」は、8つのスラスターを搭載し、船上のPCとテザーケーブル1本で接続されます。操作はゲームパッドを用い、最大300mの潜行が可能で、バッテリー使用で約4時間の稼働ができるのが大きな特徴です。
このドローンの最大の利点は、そのソフトウェアにあります。自動的に深度と姿勢を維持し、画像処理によって機体の位置保持が行えるため、潮流の激しい環境でもスムーズな調査が可能になります。
空間知能化研究所のエンジニアチーム
空間知能化研究所は、筑波大学発のベンチャーとして知られています。共同創業者である伊藤昌平代表取締役は、ロボティクス分野での豊富なバックグラウンドを持ち、同社のドローンには300m潜行可能な本格的な性能と高解像度な画像取得に欠かせない姿勢制御機能が備わっています。これらは小型・軽量・低価格であるため、従来のROVに比べ圧倒的なコストパフォーマンスの良さを誇っています。
未来を見据えた深海探査
現在、空間知能化研究所は水深300mまで潜行可能なドローンの普及に注力していますが、将来的にはさらに深海へ探査を行う製品の開発も計画しています。多くの人に新しい水中探査の形を提供することで、「地球最後のフロンティア」と称される深海の謎を解明することを目指しています。
会社概要
株式会社空間知能化研究所は、茨城県つくば市に本社を置き、2014年に設立されました。市場ニーズに応えるべく、革新的な水中ドローン技術の開発を進めています。
本社住所:茨城県つくば市天王台1-1-1 筑波大学産学リエゾン共同研究センター棟201号室
代表者:伊藤 昌平
設立:2014年6月
URL:
空間知能化研究所