中小企業のESG経営、環境への取り組みは道半ば!CO2排出量把握はわずか7.8%、削減量管理も6.6%にとどまる
フォーバル GDXリサーチ研究所が実施した中小企業のESG経営に関する調査結果によると、自社領域におけるCO2排出量の把握ができている企業はわずか7.8%、削減量の把握・管理ができている企業も6.6%にとどまりました。環境活動の取り組みは、省エネルギー活動などが主流ですが、グリーンエネルギー使用活動や環境配慮型事業活動の展開は少ない状況です。
調査では、全国の中小企業経営者990人を対象に、ウェブアンケートを実施しました。調査結果から明らかになったのは、中小企業における環境への取り組みは、依然として遅れているということです。
CO2排出量把握の現状
調査結果によると、自社領域におけるCO2排出量の把握ができている企業はわずか7.8%にとどまりました。約2年前の調査結果と比較しても、大きな変化は見られませんでした。これは、中小企業が自社の環境負荷を把握することに苦労していることを示しています。
環境活動の取り組み状況
最も多く取り組まれている環境活動は、「省エネルギー活動」でした。これは、環境活動の第一歩として、比較的取り組みやすい内容であると考えられます。一方、「グリーンエネルギー使用活動」や「環境にプラスの影響を及ぼす事業活動の展開」といった、環境への取り組みを明確化するための活動は、少ない状況でした。これは、環境への取り組みを明確な企業施策として掲げていなければ、なかなか取り組みしづらい項目であると考えられます。
CO2削減量の把握・管理
CO2削減量の把握・管理ができている企業はわずか6.6%でした。環境活動の効果を測定するためには、自社のCO2排出量を可視化し、削減量を分析することが重要です。しかし、多くの企業が数値で把握できていない状況です。その原因としては、把握方法がわからない、人的リソースが足りないなどが挙げられます。環境活動の取り組みを可視化するITツールの活用や外部委託などの手法を検討する必要があるでしょう。
今後の中小企業におけるESG経営
日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指しています。この目標達成のためには、大企業だけでなく、サプライチェーンを構成する中小企業も積極的に環境への取り組みを進める必要があります。中小企業が環境への取り組みを強化することで、持続可能な経営を実現し、市場における差別化戦略を推進することが可能となります。
フォーバル GDXリサーチ研究所所長 平良学氏は、中小企業が環境への取り組みを加速させるためには、国や中小企業支援事業者との連携が不可欠であると強調しています。
フォーバル GDXリサーチ研究所は、今後も中小企業のGDXに関する実態調査を行い、研究レポートや論文などを発信することで、中小企業の変革を支援していきます。