日本医師会長、財政審議論に反論
2023年11月6日、日本医師会の松本吉郎会長は公式YouTubeチャンネルで記者会見を行い、財務省の財政制度等審議会(略称:財政審)での社会保障に関する議論について反論を示しました。この会見は、財政審で具体的な議論が行われた翌日に開催され、多くの注目を集めています。
1. 医療提供体制への危機感
松本会長は、会見の中で財政審の議論に対する強い不満を表明しました。特に、現状のままでは医療・介護分野での人材流出や経営悪化が避けられず、その結果、医療や介護サービスの安定的な提供が難しくなるという危機感が全く感じられなかったことを指摘しました。これは、日本が直面する急速な高齢化社会において、特に深刻な問題です。
2. 診療報酬の検討不足
会長はまた、診療報酬については中医協(中央社会保険医療協議会)で詳細に検討すべきであり、財政審での論点に関連する資料が十分に提出されていることを強調しました。医療関係者として、彼は直接医療現場での意見が反映されないことが財政審の決定に悪影響を及ぼすと感じているようです。
3. 経済対策の必要性
松本会長は、現役世代の保険料を抑えることが可処分所得を増加させるとの考え方にも疑問を呈し、逆にそれが医療従事者の離職を助長する可能性があると警告しました。医療・介護分野で働く人々が継続して働けるため、そしてサービス提供の基盤を持続するためには、早急に十分な経済対策を実行する必要があると訴えました。
4. 賃金・物価上昇への対応
特に令和8年度の診療報酬改定においては、賃金や物価の上昇に対応するため、政策的改定とは別に、毎年の上昇を考慮に入れた改定が求められると強く要求しました。現状維持ではなく、実質的な改善策が必要だという点が強調されました。
5. 医療現場の窮状
会見の最後には、医療費削減が進行する中で、「適正化等の名目で医療費が削減され続ければ、医療機関の状況は変わらず、国民の医療アクセスが危うくなる」と警告しました。これにより、前例のない大規模かつ抜本的な対応が必要であり、真の財源の増加が求められるとの立場を明確にしました。
6. 視聴と理解を促進
日本医師会は、会見動画と会見資料を公式ホームページに掲載し、皆さまにその内容を理解してもらいたいと呼びかけています。関心のある方はぜひ、公式YouTubeチャンネルやホームページを訪れて、詳細を確認してはいかがでしょうか。
医療・介護サービスの維持は、将来世代のために欠かせない課題です。専門家の見解をしっかりと把握し、議論に参加していくことが求められます。