賢い人が実践する「なぜ」と聞かない質問の技術とは

新たな質問術が登場します。中田豊一氏による著書『「なぜ」と聞かない質問術』が3月5日に発行され、知的対話力を高めたい方々に新しい示唆を与えてくれる一冊となっています。著者は40年以上にわたり開発途上国支援に携わり、対話を通じた問題解決の重要性を実感してきました。

「なぜ？」がもたらす誤解

一般的には「なぜ？」という質問が論理的思考を促すと信じられています。しかし、中田氏はこの問いかけが時に誤解を生む原因になると指摘しています。例えば、上司が部下に「なぜミスをしたのか？」と尋ねると、部下は理由を挙げがちですが、それが必ずしも実際の問題を解決するわけではありません。実際に何が起きたのか、どのような事実があったのかを掘り下げていくことこそが、効果的な問題解決に繋がるのです。

「事実質問術」という新しいアプローチ

著者が提唱する「事実質問術」は、実際に起こった事実に焦点を当てることで、解釈のズレを取り除く手法です。この方法を用いることで、対話相手が持つ思い込みを明らかにし、真の問題を理解する力が養われます。例えば、部下のミスの原因について尋ねる際には、「いつミスをしたのか？」や「何度ミスをしたのか？」といった質問をすることで、具体的な事実を引き出しやすくなります。

中田豊一の経験から得た知見

著者は国際協力の現場で多文化の人々と対話を重ねる中で、この手法の必要性を学びました。「良い質問」とは何かを追求し続けた結果、彼は「事実質問術」を確立しました。これにより、上司と部下、教師と生徒、専門家と一般人との間でも、対話の質が劇的に向上していることを見てきたのです。

読者へのメッセージ

この本は、コンサルタント、営業職、教育者、カウンセラーなど、対話力を磨きたいすべての人に向けて書かれています。中田氏の長年の経験を基にした具体的な実践方法が紹介されており、事実に基づいたコミュニケーションがどのように行われるべきか、そしてそれがなぜ重要なのかが深く理解できる内容となっています。

最後に、著者の中田氏は「事実質問術」を通じて、思い込みを取り除くための唯一の方法が「事実」にあるとしっかりと伝えています。私たちもこの手法を活かし、正確な意思疎通を心がけることで、よりスムーズなコミュニケーションが可能となるでしょう。

書籍情報：