最近、Progmat, Inc.と株式会社Datachainが共同で立ち上げた「Project Pax」が話題になっています。これは、世界中で顕在化しているクロスボーダー送金の課題を解決すべく、ステーブルコイン(SC)を利用した送金基盤を構築する試みです。クロスボーダー送金市場は、すでに182兆ドル(約28,000兆円)にも達しており、効率を向上させることが急務とされています。特に、送金コストやスピード、透明性といった問題に対する抜本的な改善が求められていることから、Project Paxの重要性が浮かび上がります。
Project Paxの全容
このプロジェクトでは、AML/CFT(マネーロンダリングおよびテロ資金対策)や規制対応に加え、銀行経由でのステーブルコイン送金をSwiftの既存APIを利用して実現します。目指すは、高速かつ安価で、24時間365日稼働する送金システムの実現です。このプロジェクトには、国内外の主要金融機関も参加し、2025年の商用化に向けて実証実験を行います。
ステーブルコインの成長と期待
現在、ステーブルコインの市場は急速に成長しており、発行時価総額は25兆円以上に上りますが、これは法定通貨全体に比べるとまだ0.5%未満です。このため、Sedでの利用拡大が期待されています。特に、香港におけるTether社の業績は好調で、2024年第1四半期の純利益は45億ドルに達する見込みです。これからSCが実体経済における決済手段として広く利用されると予測されています。
G20の目標と日本の進展
G20では、「送金コスト」「着金スピード」「アクセス」「透明性」という4つの観点から、2027年までの目標が設けられています。この中で、日本はSCに関する法律が先行して施行され、2024年内には規制に準拠したSCの発行と利活用が始まる予定です。
実用化に向けたフレームワーク
Project Paxでは、Progmat社が「Progmat Coin」という基盤を構築しており、法規制対応だけでなく、会計・税務面にも配慮されています。この基盤を通じて、SCの発行はJPYやUSDなどの主要法定通貨で可能で、国内外での柔軟な利用を見込んでいます。事業会社がこの新システムを利用することで、よりスムーズで安価な国際送金が実現されるでしょう。
おわりに
今後の展望として、2025年の商用化に向け、project Paxは早急に実証実験を進め、SCを活用した国際決済のスタンダードを確立することが期待されています。このプロジェクトによって、より安全で快適な送金環境が整い、国際的な商取引がスムーズに行えるようになるでしょう。以上のように、「Project Pax」は金融の未来に向けた重要な一歩となることは間違いありません。