APAC地域の居住系不動産投資における最新動向と日本の魅力
投資家の関心が高まるAPACの居住系不動産
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドが実施した初の「APAC Living Investor Survey 2026」により、APAC地域の居住系不動産(以下、Livingセクター)への投資家の関心が非常に高いことが示されました。この調査では、投資家の85%が今後5年間で同セクターへの投資を拡大する意向を示し、それに伴う投資総額は約332億米ドルに達する見込みです。これは、APAC地域の不動産ポートフォリオにおけるLivingセクターの重要性が高まり、安定した収益を生み出す資産への需要が急増していることを示しています。
特に、投資家の中でも多様な不動産セクターに投資している機関投資家の約3分の1は、Livingセクターをポートフォリオ全体で30%以上に拡大する計画を持っています。
オーストラリアと日本が魅力的な投資先に
調査によると、APAC地域においてオーストラリアおよび日本が居住系不動産投資のトップ3に位置付けられています。
日本の強み
日本の魅力的な投資先としての評価は、市場規模の大きさと高い流動性に起因しています。また、日本はAPAC地域で最も成熟した機関投資家向けマルチファミリー住宅市場を持っており、これも高評価の要因となっています。さらに、都市部への人口集中や世帯規模の縮小、外国人労働者の増加などが、強い賃貸住宅需要を生んでいます。
オーストラリアの特徴
一方、オーストラリアでは、深刻な住宅供給不足や強い賃貸住宅需要が長期的な成長を支える要因とされています。このことが、投資家からの厚い支持を受ける理由です。
シンガポール、韓国、香港も今後の有望市場として位置付けられていますが、投資規模や規制環境、価格水準などが課題となっています。
安定稼働資産の需要と供給のギャップ
調査では、投資家が安定した収益を生む、防御的資産を求める傾向が強まっていることもわかりました。市場の変動性が高まる中で、半数の回答者が安定稼働資産への選好を強めたと述べています。しかし、多くのAPAC市場では、機関投資家向けの高品質な既存物件が不足しており、需要と供給のギャップが深刻です。
この需給のギャップは、投資手法の見直しを促しており、73%の投資家が用途転換や再ポジショニングを検討しています。さらに、今後1~3年の間にジョイントベンチャーが有力な投資スキームとして浮上しています。
投資拡大の課題
しかし、実際に投資を行う上では、いくつかの障壁が存在します。最も大きな課題は、買い手と売り手の間の価格期待のギャップ(44%)、開発事業の採算性(29%)、取引事例の不足、そして市場透明性のばらつきです。これらの要因が、適切な資産評価や効率的な投資実行を難しくしています。
調査の概要
この「APAC Living Investor Survey 2026」は、機関投資家やファンドマネージャーなど、さまざまな市場参加者を対象に行われ、約22万4,000戸・ベッドの資産を保有・運営する回答者からデータを収集しています。調査は2026年第2四半期に実施され、APACのLivingセクターにおける投資家の心理や資産配分の動向を詳しく分析しています。
まとめ
APAC地域の居住系不動産市場は、堅調な需要と安定した収益に支えられ、ますます魅力的な投資先となっています。特に日本とオーストラリアが高い評価を受けており、今後の動向が注目されます。投資家は、安定した資産を求める一方で、さまざまな課題にも直面しており、これからの展望については慎重な観察が必要です。