北欧のデザインと技術が融合した木造建築の新たな挑戦
建築の世界では、デザインと持続可能性がますます重要視されています。株式会社システムクリエイトが誇る3Dモデリングソフト「Rhinoceros(ライノセラス)」は、フィンランドの木造建築プロジェクト「カタヤノカン ライトゥリ」において、この両者の融合を実現しました。
カタヤノカン ライトゥリの紹介
カタヤノカン ライトゥリはヘルシンキの海岸沿いに位置し、フィンランドにおける最大の木造建築として注目を集めています。この建物は、フィンランドの木材をふんだんに使用し、ストーラ エンソの本社とホテルとしての機能を兼ね備えています。使用されている木材は、合計7,600立方メートルに及ぶトウヒ材で、具体的にはCLT(直交集成板)、グルーラム(接着層による梁)、LVL(単板積層材)が使用されています。
このプロジェクトは、1962年に著名な建築家アルヴァ アアルトによって設計された隣接のストーラ エンソの本社と非常に調和しています。コントラストのある古典的な外観と現代的で曲線的なファサードが、訪れる人々を魅了します。
複雑なファサードデザインの挑戦
カタヤノカン ライトゥリの特徴の一つは、その長く湾曲した二重のファサードです。これは、ヘルシンキの海洋性気候に耐えられるように設計されており、視覚的にも美しさを追求しています。ファサードの設計は、フィンランドのGeometria Architecture社によって行われました。
彼らは、ファサードの製造モデルを586個のプレファブリケーション要素に分割しました。この要素をさらに170個の幾何学的に固有のタイプに分類し、298個の異なる変数を考慮した設計を行っています。このような繊細な計画のもと、製造プロセスを簡素化しつつ、ファサードの全体的な外観を損なわないように配慮されています。
ツールと技術の活用
Geometriaは、RhinocerosとGrasshopperといったツールにより、ファサードの設計と製作をサポートしました。これにより、柔軟でチェック可能な設計の過程が実現され、細かな調整も可能となっています。さらに、VisualARQやEleFrontなどのプラグインを用いることで、部品表の生成や製造準備を効率的に行うことができました。
デジタルモデルから生まれる製造プロセス
3Dモデルの精度によって、1,252個の部品製造図面が作成され、さまざまなデジタルツールを駆使して必要な部品が生成されました。特に、木材部品の外注が行われたことは、異なる製造業者間の相互運用性の重要性を示しています。
最終的には、現場での設置に必要な図面はわずか4枚という驚異的な効率で、非常にスムーズな組み立てが実現されました。こうした綿密な事前計画のおかげで、プロジェクトは非常にスムーズに進行しました。
まとめ
カタヤノカン ライトゥリプロジェクトは、コンピューター設計により、野心的な建築構想を現実のものとする好例です。Geometria Architectureは、伝統的な北欧の素材と、最新のデジタル製造技術を融合させ、木造建築の限界を引き上げる挑戦を行いました。これにより、建築における持続可能性とデジタルデザインの未来を見据えたプロジェクトとして、今後も注目され続けることでしょう。
システムクリエイトは、こういった革新的な事業のサポートを通じて、ものづくりの新たな可能性を切り開いています。