小児骨肉腫の治療
2025-04-13 01:02:23

小児・AYA世代の骨肉腫に最適な治療法とは?新たな研究成果に注目

小児・AYA世代の骨肉腫に関する新研究の結果



国立研究開発法人国立がん研究センター、北海道がんセンター、岡山大学病院および日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)が共同で行った新たな研究が、現在の小児・AYA世代の高悪性度骨肉腫患者における標準治療方針に重要な影響を与えることが期待されています。この研究の結果、術前化学療法の効果が乏しい患者に対しては、4剤併用療法(MAPIF)ではなく、3剤併用療法(MAP)が推奨されることが明らかになりました。

研究の背景


高悪性度骨肉腫は、特に成長段階にある小児やAYA(Adolescent and Young Adult)世代に多く見られる骨のがんです。この病態に対する治療法としては、手術前後に抗がん剤を使用する化学療法が一般的です。従来、転移がない患者においては、メトトレキサート(M)、ドキソルビシン(ア)、シスプラチン(P)の3種類の抗がん剤を併用するMAP療法が第一選択となっていましたが、術前の化学療法の効果が薄いケースでは、イホスファミド(IF)を追加した4剤併用療法が提案されていました。

4剤併用療法の疑問


MAPIF療法は標準的に行われてきましたが、その上乗せ効果については疑問が残っていました。さらに、IFを追加することで治療期間が長引いたり、新たな副作用が出る可能性があるため、この療法の妥当性を検証しようという動きが発生したのです。

実施されたランダム化比較試験


日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)は、術前のMAP療法が効果的でないと判断された患者に対し、術後のMAPとMAPIF療法を比較するためのランダム化比較試験を実施しました。この試験には全国34の医療機関が参加し、結果が科学的証拠として体系化されました。

研究結果


試験の結果、MAPIF療法によるIFの追加はMAP療法と比較して生存期間を延ばすことが確認されず、むしろ副作用が強くなる可能性が示唆されました。この結果を受けて、転移のない高悪性度骨肉腫患者に対する抗がん剤治療において、術前のMAP療法の効果が乏しい場合でも、術後は引き続きMAP療法を行うことが推奨されることとなりました。

研究の意義


この研究の成果は、世界的にも評価され、2025年3月26日付けで『Journal of Clinical Oncology』という医学雑誌に発表される予定です。JCOGは今後も、がん患者にとっての最適な医療の確立に向けて、更なる臨床試験を行う方針です。

終わりに


小児・AYA世代骨肉腫患者に対する標準治療が見直される重要な研究成果は、今後の治療法や患者の生活の質向上に寄与することが期待されています。


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会社情報

会社名
国立大学法人岡山大学
住所
岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス本部棟
電話番号
086-252-1111

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