オープンイノベーションの課題
2020-10-22 15:00:04

企業のオープンイノベーション、70%が抱える課題とは?

オープンイノベーション調査の背景


最近の調査では、オープンイノベーションに関する企業担当者の約70%が、その取り組みに対して課題感を抱いていることがわかりました。これにより、自社のオープンイノベーションの取り組み評価と社内体制の関連性が明らかになったのです。

調査の概要


この調査は、Ishin GroupとVertex Holdingsが共同で行い、日本の様々な企業の担当者から12,000件以上の回答を集めました。調査期間は2020年7月15日から8月7日までで、有効回答数は297名に上ります。

主な調査結果


調査結果からいくつかの興味深いポイントが浮かび上がりました。その中でも特に注目すべきは以下の通りです:
  • - オープンイノベーションの自己評価において、約68%が課題を感じている。
  • - 自社のオープンイノベーションの取り組みが評価される要因として、社内の体制(責任主体やレポーティングライン、専任者比率)が関連していることが示されています。
  • - 事業部門主導型の組織では、オープンイノベーションの評価が低く、逆にデジタルやイノベーション専門の部署が主導する場合は高評価が得られる傾向が見られます。

社内体制が鍵に


調査結果により、オープンイノベーションの取組み評価において、社内体制が重要な要素であることが確認されました。特に、社長やCEOにレポートしている担当者が高評価を得る傾向にあり、事業担当役員に報告する場合は評価が低いことがわかりました。経営企画部門が主導する場合も同様の傾向が見られ、レポート先が評価に影響を与えることが明らかです。

専任者の重要性


さらに、オープンイノベーションの成功には、専任の担当者が在籍していることも重要です。調査では、オープンイノベーション組織の人員規模と評価には相関関係が薄い一方で、専任者の比率が高まるほど組織の評価が正の相関を示していることが判明しました。この結果から、「人材の手当て」以上に専任化が求められていると言えるでしょう。

企業の取り組み


日本企業がオープンイノベーションに取り組む背景には、既存事業の周辺領域での新規事業立ち上げが最も多く、次いで未開拓領域での事業展開が求められています。特に注目されたのは、スタートアップとの連携先が日本国内と米国に偏っている点で、他の大きな市場とされる中国やインドはあまり利用されていない状況が存在します。

今後の展望


この調査から、オープンイノベーションに対する課題感と評価の差が浮き彫りになりました。今後は、企業がどのように社内体制を改善し、専任担当者を育て上げていくかが成功の鍵となるでしょう。更に、調査結果に基づいた施策が求められる場面が増えていくことが不可避となります。

企業としての持続的な成長を実現するためには、オープンイノベーションを積極的に活用し、その運用方法を見直すことが重要です。今後は、グローバルな観点からのスタートアップとの連携強化が求められることでしょう。また、詳細な調査結果や分析をまとめた冊子「Global Open Innovation Insights」が発行されているので、企業の取り組みに参考としていただければ幸いです。

会社情報

会社名
VERTEX VENTURE MANAGEMENT PTE LTD
住所
250 North Bridge Road #11-01, Raffles City Tower, Singapore
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