2023年8月9日、徳島県中州町にあるTHE PACIFIC HARBORにて、徳島県の企業団体と台湾の苗栗台中地域の企業団体が、経済・文化・観光・農村振興の相互協力を目的としたMOU(覚書)を締結しました。本イベントは、台湾の農業部農村発展及び水土保持署、いわば日本の農林水産省に相当する機関の台中分署が中心となって企画されています。
今回のMOU締結式には、台湾側から水保署署長の李鎮洋氏や、苗栗県政府農業処処長の陳樹義氏をはじめとする代表団が参加しました。また、台湾の中部に位置する企業や民間組織、そして徳島県からも酒造組合や旅行会社など、様々な団体が集まりました。
この場では、日台の友好的な交流の重要性や、産業面での相互協力に関する意見が交わされ、両地域の活性化に向けた新しい道が開かれました。特に、台湾の農業や観光分野のニーズに応えるため、徳島の魅力をアピールする様々な取り組みが期待されています。
台湾紅茶「猫裏紅茶」の魅力
締結式では、日本と台湾を繋ぐ文化のひとつとして「猫裏紅茶」が紹介されました。この紅茶は、中苗地区の苗栗市農会が手がけたもので、滑らかで甘味が感じられる上質な味わいが特徴です。もともと台湾紅茶の普及に尽力した新井耕吉郎氏の影響を受けたこの紅茶は、リッチなフルーツの香りが立ち、歴史と共に深い余韻が残ります。
地域特産の清酒「吉野瑞光」誕生
また、明治時代に徳島県から移住者が多く住んでいた花蓮県吉安郷にルーツを持つお酒「吉野瑞光」が、この締結の際に発表されました。花蓮の農業改良場で栽培された「吉野一号」を用いて生産されたこの清酒は、米の特性を活かし、地域の歴史にも連なる新しい魅力ある商品です。
新ブランド「天茶地酒」の誕生
更に、MOU締結にあたって「天茶地酒」という新たなブランド名が誕生しました。この名称は、中国の古典から由来しており、サステナビリティを重視し、国境を超えた地域の連携を象徴するものです。双方の特産物を融合し、世界市場への展開を目指すこの試みは、地域発展に向けた大きな一歩と言えるでしょう。
長期的な協力関係の構築
今後は、日本と台湾の14の団体が協力し、観光や文化の面でもさらなる相互の発展を図ることが見込まれています。MOUの締結によって、農村振興や国際的なマーケティング、さらには観光分野での相乗効果を期待し、持続可能な関係を築く努力が続けられます。両国の豊かな文化と共に、多様な交流が新たな価値を生み出すことは間違いありません。