日米の労働者が抱えるスキル認識の違い
Indeed Japan株式会社が実施した「労働者のスキルに関する日米調査」の結果が発表されました。調査は、日本と米国の労働者3,096名と採用担当者1,030名を対象に行われ、特に自認するスキルの数やその認識の仕方に焦点が当てられています。今回の調査は、早稲田大学の大湾秀雄教授の監修のもとで実施され、自らのスキルについての意識の違いがどのようにキャリア形成に影響しているのかを考察しました。
自分の持つスキルへの認識
調査結果によれば、日本人の労働者は自認しているスキル数が非常に少なく、平均0.6個で米国の平均2.4個の約1/4という結果に。日本では特に資格や検定がスキルと認識されがちですが、これに対し米国ではコミュニケーション能力やリーダーシップなどのソフトスキルを含め、自らの市場価値を意識している傾向が強いことが明らかになりました。
スキルの身につけ方に対する意識
スキル取得に関する意識調査では、日本の労働者がスキルは「個人の努力」に依存する傾向が強いのに対し、米国は「会社や社会が支援すべき」という意識が強い結果が示されました。特に、業務を通じて自然にスキルを身につけられると考える人は、米国では約4割に達します。
理想のキャリアプラン
さらに、キャリアプランとスキル習得計画の有無について確認したところ、米国の労働者は明確なキャリアやスキルプランを持つ割合が約48.9%に対して、日本はわずか9.7%にとどまるという大きな差が浮かび上がりました。加えて、日本の企業が提供する教育支援がキャリア自律に影響を与えることも示唆されています。
調査監修者のコメント
大湾教授は、「日本社会では終身雇用の終焉により、各労働者に対してキャリアの自律が求められるようになっています」と述べており、今回は日本の労働者が自らのスキルの認識において課題を抱えていることが浮き彫りになったと指摘しています。また、企業によるキャリア支援が今後一層重要だと強調しました。
これからの展望
調査結果は、日本の労働者がより良いキャリア形成を行うために、自己のスキルの認識を深め、企業も従業員の成長を支援する必要性を改めて示しています。今後の人材育成の在り方について議論が続いていくでしょう。
この調査は、米国と日本の労働者が持つスキルに対する認識の違いが明確に浮かび上がった結果を示したものです。特に日本の労働者がより多様なスキルを自ら認識し、キャリアプランを策定する重要性を強調する結果となりました。