アクセルスペースにおける衛星技術の革新
株式会社アクセルスペースは、宇宙利用の民主化を目指して小型衛星の開発・運用を行っている企業です。2025年12月14日、日本時間において、同社の膜面展開型デオービット機構「D-SAIL」を搭載した小型実証衛星4号機(RAISE-4)が、Rocket Lab社のElectronによって打ち上げられました。これは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施する「革新的衛星技術実証4号機」としての重要な一歩です。
D-SAILの役割と意義
この衛星に搭載されたD-SAILは、運用が終了した後、衛星が軌道上に長期間残ることを防ぐための軌道離脱装置です。その構造は約2m²の膜面から成り、それが軌道上にわずかに存在する大気の抵抗を受けることにより、衛星の高度を徐々に下げて、最終的には地球の大気圏への突入を促します。この技術を初めて実証する機会が、RAISE-4によって訪れます。実証は打ち上げ後約1年の2026年末に行われる予定です。
サステナビリティへの取り組み
アクセルスペースは、地球環境への負荷を軽減するためのガイドライン「Green Spacecraft Standard」を策定しており、持続可能な宇宙環境の確保に向けた努力を続けています。この標準は、衛星の開発、運用、廃棄に至るまでの全プロセスにわたる施策を含んでいます。具体的には、D-SAILをサカセ・アドテック株式会社と共同で開発し、汎用バスシステムに標準搭載しています。
米国連邦通信委員会(FCC)からは、地球低軌道で運用される衛星に対し、運用終了後5年以内の軌道離脱を義務付けるルールが導入されています。このように、スペースデブリ(宇宙ごみ)対策が顕在化する中、アクセルスペースは積極的な対応を行い、業界全体のサステナビリティに貢献する姿勢を示しています。
アクセルスペースの理念
創業以来、アクセルスペースは「Space within Your Reach、宇宙を普通の場所に」というビジョンを掲げ、小型衛星の先駆的な開発に注力してきました。特に、宇宙ミッションを実現するための衛星開発・運用事業「AxelLiner」と、地球観測データ提供事業「AxelGlobe」を展開し、様々な産業のニーズに応えています。
これらの活動は、アクセルスペースの理念「誰もが宇宙を利用できる社会」を実現するための重要なものであり、今後も先進的な技術開発を通じて、持続可能な未来を構築することを目指しています。
今後の展望
RAISE-4のD-SAILによる実証が成功すれば、それはアクセルスペースとしても、新たな技術革新の開端になるでしょう。サステナビリティに配慮した宇宙利用の見本として、他の企業や団体へも良い影響を与えることが期待されます。課題が多い宇宙環境でも、アクセルスペースは今後も革新を続け、持続可能な宇宙開発に貢献し続ける姿勢です。