流体装置開発の新技術
2025-10-02 14:20:35

京都大学などが流体装置開発を加速する新技術の研究を開始

新たな流体解析技術による産業へのアプローチ


今般、京都大学、埼玉大学、富山大学、ダイキン工業、そしてBIPROGYが産学共同研究テーマ「産業流体装置開発を加速する流線トポロジカルデータ解析ソリューション」に関連し、研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)の産学共同ステージⅡに採択されました。このプログラムは、ものづくり産業の中で生産効率を高め、開発期間を短縮することを目標に掲げています。

背景と必要性


流体装置は、製造や医療、環境など、多岐にわたる分野で重要な役割を果たしています。しかし、通常これらの装置の開発には流体シミュレーションが不可欠であり、従来の流体解析ソフトウエア(CFD)を用いることが一般的です。しかし、CFDは流れの詳細データを提供するものの、その複雑なデータから有効な情報を引き出すのは甚だ困難です。そのため、産業流体装置の開発現場では、試行錯誤による設計の変更と長時間のシミュレーションの繰り返しが余儀なくされ、開発期間とコストの増大が問題となっています。

新技術のコンセプト


「産業流体装置開発を加速する流線トポロジカルデータ解析ソリューション」は、流体解析手法「流線トポロジカルデータ解析(TFDA)」を用い、ダイキン工業の空調用圧縮機における業務プロセスの効率化を目指します。圧縮機はエアコンの心臓部であり、冷媒の温度を調整する重要な役割を果たしています。これに関する課題の一つが「油上り」という現象であり、設計において取り扱うべき主な問題数の一つでもあります。

この解析技術によって、圧縮機内部の冷媒や油の流れを効率よく可視化でき、どのような構造変更が効果的かを的確に特定することが可能となります。試行錯誤による開発から脱却し、的確な開発を進めることで開発期間の短縮とコストの削減を図ることが期待されます。

プログラムの詳細と役割


このプログラムは、2025年10月から2030年3月までの開発期間を設定し、着実な進捗を図る計画です。関係者の役割は以下の通りです:
  • - 京都大学、埼玉大学、富山大学:流線トポロジカルデータ解析(TFDA)に関する理論の整備。
  • - ダイキン工業:空調用圧縮機のシミュレーションデータの提供および適用検証。
  • - BIPROGY:流線トポロジカルデータ解析のアルゴリズムやそのソフトウェアの研究開発を担当します。

今後の展望


共同研究では、ダイキン工業の空調用圧縮機における「油上り現象」の発生比率を低減することを目指します。それに加えて、流線トポロジカルデータ解析は、CFDを補完する技術として広く利用される可能性を秘めています。将来的には、自動車や航空機など、多様な産業機器に応用できる流線トポロジカルデータ解析ソリューションとしての展開が期待されています。

この新たな取り組みが、ものづくり産業における大きな変革をもたらすことを願っています。


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