高知県いの町が進める浸水対策、AREA RAINの導入実験

高知県のいの町において、過去の水害を教訓とした新たな浸水対策の実証実験がスタートしました。このプロジェクトは東京電機大学と株式会社石垣の連携により実現し、水害防止のための革新的な情報システム「AREA RAIN」が中心となります。

近年、全国的に水害が頻発し、その被害も深刻化しています。いの町では、仁淀川流域治水プロジェクトをもとに、「安全に逃げる」ための堅実な対策を進めてきました。町内には多くの浸水センサーが設置されており、住民への情報提供も行っています。しかし、浸水センサーは水害が発生した後に反応するため、避難誘導や交通規制などの初動対応に課題が語られていました。このため、浸水予測を客観的に行うシステムが強く求められていました。

実証実験の概要

今回の実証実験では以下の取り組みが行われます：

1. 浸水センサーの設置と運用
石垣が提供する雨水排水ポンプ周辺に浸水センサーを配置し、その排水効果を可視化します。

2. 「AREA RAIN」の活用
東京電機大学が開発した高精度降雨情報システム（250mメッシュ）を用い、データを蓄積しつつ、浸水予測の精度を向上させます。

3. 可視化システムの開発
センサー情報と降雨データが統合され、住民や行政が直感的に状況を把握できるインターフェースが構築されます。

4. 防災活動の効率化
可視化システムにより避難情報の精度が向上し、交通誘導の迅速化と地域特性に合った対応策の検証が進められます。

「AREA RAIN」の技術的特徴

「AREA RAIN」は、以下のような特長を持つシステムです：

- 高解像度降雨データ

250mメッシュにより、局所的な雨の強さや分布をリアルタイムで把握可能。

- タイムスライダー機能

過去・現在・未来の雨量変化を時系列で確認できる機能です。

- 浸水発生の予測

雨量と浸水状況をグラフで表示し、リスクの高まる様子を直感的に理解できる工夫がなされています。

- 視覚的インターフェース

地図と連携したインターフェースにより、行政職員や住民が即座に状況を把握し、迅速な判断が可能となります。

覚書締結式の詳細

このプロジェクトの産官学連携覚書締結式は、2025年8月26日にいの町役場で行われ、いの町の副町長や東京電機大学の研究推進社会連携センター長等が出席しました。この連携により、いの町の住民がより安全に生活できる環境が整備されることが期待されています。
その他、今後の進展については東京電機大学の研究推進社会連携センターが責任を持って対応していきます。
（連絡先情報）
東京電機大学研究推進社会連携センター
産官学連携担当藤巻
TEL: 03-5284-5225
FAX: 03-5284-5242
e-mail: [email protected]
〒120-8551 東京都足立区千住旭町5番