営業分業の実態調査
2024-07-10 12:00:14

営業組織の分業化は本当に効果があるのか?10,000人の営業実態調査が明らかに

営業組織の分業化、本当に効果はあるのか?10,000人の実態調査が明らかに



株式会社パーソル総合研究所が発表した「10,000人の営業実態調査 2024」は、BtoB営業担当者と顧客合わせて5,000人ずつ、計10,000人を対象とした大規模な調査です。近年、テクノロジーの進化や顧客ニーズの多様化により、営業を取り巻く環境は大きく変化しています。本調査は、変化の激しい現代において、営業組織がどのように機能し、顧客の期待に応え、営業担当者のモチベーションを高めることができるのかを探るものです。

顧客の期待に応えられない現状



調査では、顧客が営業に期待するポイントと、営業組織が実際に行っている強化ポイントを比較しました。その結果、顧客は自社の業界や状況を理解し、最適な提案をしてくれることを期待している一方で、営業組織は「他社の商品・サービスと比較検討しやすい情報の提供」「費用対効果の明示」といった顧客ニーズに応えられていない現状が明らかになりました。

分業化の課題:組織間連携の不足と個々の視野の狭さ



営業組織における分業化は、担当者の専門性を高め、業務効率を向上させる効果が期待されます。しかし、本調査では分業化に伴う課題も浮き彫りになりました。

組織間連携の不足: 分業体制では、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスなど、各部門の連携がうまく取れていないケースが多く見られました。特に、フィールドセールスは前工程や後工程に時間を割かれることが多く、本来の業務に集中できない状況が課題として挙げられています。
個々の視野の狭さ: 分業体制によって、担当者の業務範囲が限定され、全体的な状況を把握しづらくなる傾向があります。そのため、顧客ニーズや市場の変化に対する対応が遅れてしまう可能性も懸念されます。

分業化による営業担当者の幸福度への影響



分業化は、営業担当者の幸福度にも影響を与えていることが示唆されました。調査によると、カスタマーサクセスの担当者は、他の職種に比べて幸福度が低い傾向が見られます。また、分業体制の中でも、一部分業よりも完全分業の方が、幸福度が低いという結果が出ています。これは、完全分業では担当者の裁量や成長機会が制限され、仕事へのモチベーションややりがいを感じにくいことが原因と考えられます。

営業組織の成功のためのヒント



本調査の結果から、営業組織は単に分業化を進めるのではなく、顧客の期待に応え、営業担当者のモチベーションを高めるための戦略的な取り組みが必要であることが明らかになりました。

顧客中心の視点: 顧客のニーズを深く理解し、顧客に寄り添った提案を行うことが重要です。そのためには、顧客とのコミュニケーションを強化し、顧客の課題や要望を的確に把握する必要があります。
組織間連携の強化: 分業体制を導入する際には、各部門の連携を強化し、情報共有をスムーズに行う仕組み作りが不可欠です。チームワークを促進し、共通の目標を達成するために、定期的な情報交換や意見交換の場を設けることが有効です。
* 担当者のモチベーション向上: 営業担当者のモチベーションを高めるためには、個々の能力や成長を支援する環境作りが重要です。自己成長やキャリアアップの機会を提供し、仕事への意欲を高めましょう。

まとめ



「10,000人の営業実態調査 2024」は、営業組織の現状と課題を浮き彫りにし、これからの営業組織が進むべき方向性を示唆しています。顧客の期待に応え、営業担当者のモチベーションを高めるためには、組織設計だけでなく、個々の担当者の能力やモチベーションを最大限に引き出すための取り組みが必要となります。


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