スマート道路を目指す新たな技術検証
富士ソフト株式会社と名古屋大学は、都市交通システムの最適化に向けた新しい取り組みとして、バス専用レーンを利用した走行課金システムの技術検証を行うことを発表しました。このプロジェクトは、2024年度から開始され、バスの運行効率を向上させることを目的としています。
背景と課題
公共交通機関の一環であるバスは、バス専用レーンや優先レーンの設置によって、安定した運行が図られてきました。しかし、増加する交通量に対し、バス専用レーンを完全にバスのためだけに開放するのは非効率的です。そこで、本取り組みでは、バスの運行に支障をきたさない範囲でレーンの空き時間を有効に活用することで、渋滞の緩和や移動時間の短縮を実現することを目指します。
走行課金システムの概要
富士ソフトは、「先進モビリティサービスのための情報通信プラットフォームに関するコンソーシアム」に参加しており、その一環としてバス専用レーンに走行課金システムを導入します。このシステムにより、現在は一般車両が通行できないバス専用レーンを課金を介して開放し、利用者は移動時間の短縮を享受。これにより、全体的な交通パフォーマンスの改善が期待され、渋滞が緩和されるでしょう。
具体的には、2024年度には愛知県名古屋市守山区志段味のバス専用レーンで、スマートフォンのカメラやGPS機能を使用して、レーンごとの走行距離を算出する検証を行います。実験はバス優先レーンの適用時間帯に実施され、法規に従った運用が行われます。
今後の展望
2025年度以降には、バスとの情報通信を想定したバスの接近通知機能や、非課金車両の見える化機能の研究開発も検討されています。このようにして、バス専用レーンの開放が交通の効率に与える影響や、受益者負担を前提とした道路課金に対する社会的受容性についても調査していく予定です。
同コンソーシアムは、2016年から情報通信プラットフォームによる道路交通システムに関してダイナミックマップの研究開発を行っており、その活動は社会への協調型ITS(Intelligent Transport Systems)基盤作りや新たなサービス創出の推進に役立っています。さらに、経済産業省と国土交通省が委託している「RoAD to the L4プロジェクト」を通じて、自動運転技術の適用も模索しています。
まとめ
本プロジェクトは、バス専用レーン運用の効率を高めるための基盤構築を目指しており、交通マネジメントにおけるロードプライシングの社会実装を進めることが期待されます。また、都市の交通を最適化するスマート道路システムの実現にも寄与し、都市の活性化や交通の円滑化を促進する重要な一歩となるでしょう。