PLM導入の成功法
2023-09-07 09:00:02
PLM導入の罠と成功の秘訣を探る:製造業の未来を見据えて
PLM導入の真正面から向き合う
製造業において、PLM(Product Life Cycle Management)システムの導入が叫ばれていますが、その成功を容易に見積もることはできません。本稿では、PLMシステムの導入における一般的な失敗要因や、それを克服するための戦略を詳しく掘り下げていきます。
PLMの本質とは?
PLMとは、製品の企画から開発、製造、販売、保守、そして最終的な廃棄までのプロセスを管理するためのシステムです。現在のPLMパッケージは、あらゆる製品ライフサイクルの管理を目指していますが、実際には「エンジニアリング・チェーン」の領域に限定されがちです。そのため、多くの製造業界がPLM導入を進めても、真のライフサイクル管理が実現していないのが現状です。
失敗の要因
PLM導入の失敗にはいくつかの共通したパターンがあります。以下に代表的なものを挙げます。
1. スコープの狭さ
PLMシステムは多岐にわたる機能を持っていますが、ユーザーのニーズが狭い範囲に留まってしまうことが多いです。たとえば、ある会社でのPLM導入プロジェクトでは、CADとPLMの連携や、部品表の管理に焦点を当てた結果、全体最適な設計フローを考慮することを忘れてしまいました。このような狭い視点は、最終的にシステムの効果を低下させます。
2. 業務改革なしでの導入
「他社がやっているから」といった単純な理由でPLMを導入しようとする企業が多いですが、これもまた大きな落とし穴です。単なるシステム導入ではなく、業務の根本的な見直しを行わなければ、十分な効果は得られません。PLMシステムは、デジタル化を実現する手段の一環として捉えるべきで、業務改革を伴わない導入は危険です。
3. PLMへの過剰な期待
PLMを単なる情報の詰まった「箱」と捉えてしまうことも多く、過剰な期待を寄せることから、実際の導入がうまくいかないことがあります。PLMシステム自体に業務プロセスはありません。それを支えるのは、企業ごとの努力と調整です。このため、世界的な「ベストプラクティス」を追求することも時に、誤った方向へと導く要因となります。
4. 過剰な要件の設定
これまでの業務の延長としてPLMに過剰な要件を盛り込むことも、カスタマイズを重視する余り、システム導入が難航してしまう原因となります。過去の業務フローをそのまま持ち込み、システムが扱いきれない要件を積み重ねた結果、大規模なカスタマイズが必要になり、結果として保守負荷が高まり新しいシステムへ移行することが困難になることもあります。
成功のためのポイント
失敗を避けるためには、以下のポイントを意識する必要があります。
1. 全体最適を目指す:PLMシステムの導入にあたっては、企業全体の業務フローを見つめ直し、全ての部門が連携できる状態を目指します。
2. 業務改革を実施する:デジタル化だけでなく業務そのものの変革に着手し、それに合わせてシステムを設計します。
3. 適切な要件の設定:要件は現実的なものであるべきで、過去の業務方法に捉われすぎないようにします。
4. 段階的な導入:一気に全てを変えるのではなく、段階的な導入や改善を進めていくことが重要です。
まとめ
日本の製造業が今後さらに進化するためには、PLM導入に対する正しい理解とその成功のための戦略が欠かせません。製造業に携わる全ての関係者が本稿から学び、成功の道を歩む手助けとなれば幸いです。オーツー・パートナーズでは、引き続き製造業におけるデジタル化の実装に向けた情報を提供していきます。ウェブサイトのリニューアルも行い、当社のノウハウを共有することで、皆様のビジネスに役立てていただければと思います。
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