脊髄性筋萎縮症(SMA)と重症複合免疫不全症(SCID)スクリーニングの新時代
Craif株式会社が発表した新たなスクリーニングツールが医療界に新たな一歩をもたらしました。先日行われた第52回日本マススクリーニング学会にて、名古屋大学との共同研究成果として、脊髄性筋萎縮症(SMA)および重症複合免疫不全症(SCID)のための迅速スクリーニングツールが披露されました。この革新的な技術は、早期発見の重要性が求められる病態に対して、従来の検査方法に比べて大幅に時間を短縮することを実現しています。
新しいスクリーニングツールの特長
この新しいSMAスクリーニングツールは、だ液を用いた簡便な設定で、ベッドサイドでの実施が可能です。従来のスクリーニングでは検査結果を得るまでに1〜2週間を要していましたが、この新工具を使用することで、わずか1.5時間以内に結果を確認できるようになります。これにより、早期の治療介入が可能となり、患者の予後改善に貢献することが期待されます。
大規模試験での精度検証
Craifの新ツールは、1,300例の新生児を対象にした大規模なお試し試験で、その精度が検証されました。得られた結果は、確定診断検査(MLPA法)との一致が確認され、信頼性は高いとされています。この試験では、協力医療機関の産科医療スタッフが実際に使用し、その手順もスムーズであったと報告されています。ハンズオンタイムは1分未満であり、医療機関への導入も容易であることが示されました。
SMAおよびSCIDの同時スクリーニングの可能性
さらに、CraifはSCID(TREC)を対象とした検査システムも開発しました。これにより、臍帯血検体を用いて、SMAとSCID両方の同時スクリーニングができることが実現されました。これは、複数の疾患に対して同時に予防的な検査を行うことができる新しいアプローチです。
脊髄性筋萎縮症(SMA)とは
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、先天的に運動神経が障害される難治性疾患で、多くの場合、早期の介入が必要とされます。近年、新しい治療法も開発されてきていますが、病状の進行を抑え、早期に治療を開始することが重要です。この新しいスクリーニングツールがあれば、無症候の段階でも早期に発見しやすくなり、患者にとって有益な治療を受ける機会が増加します。
今後の展望
Craifは、今後もSMAおよびSCIDの同時スクリーニングのためのキットについて臨床試験を実施し、その実用化に向けて進めていく予定です。また、この新しい技術が地域の病院やクリニックでも使われることを目指し、医療現場への普及を進めていく考えです。
Company Profile: Craif株式会社
Craifはがんの早期発見を目指す2018年創業のバイオAIスタートアップであり、体液からの様々なバイオマーカーを高精度に検出するための独自技術「NANO IP®︎」を持ちしています。今後も多様な疾患に対する早期発見を推進し、より良い医療の実現に向けて努力していくことでしょう。
より詳しい情報は、
こちらのリンクをご覧ください。