三重県の未利用資源に光を当てる
近年、社会は高齢化が進み、健康維持に向けた取り組みが求められています。特に、加齢による筋力低下を示す「サルコペニア」は、多くの人々にとって深刻な問題となっています。そんな中、三重県におけるレモングラス葉の抗老化研究が注目を集めています。この研究は、ロート製薬株式会社と国立大学法人三重大学の共同プロジェクトとして進められました。
研究の背景
三重県は温暖な気候と肥沃な土壌が特徴で、豊富な農産物が生産されていますが、未利用資源の活用が課題となっています。この未利用資源を有効に活かすことができれば、地域経済の活性化にもつながると考えられています。そのため、三重県農林水産部フードイノベーション課が紹介したレモングラス葉に着目し、機能性評価が行われました。
レモングラス葉の抗老化作用とは?
本研究では、老化誘導筋芽細胞とゼブラフィッシュモデルを用いて、レモングラス葉の抗老化作用が確認されました。研究の結果、レモングラス葉のエタノール抽出物が老化細胞に特有の老化関連β-ガラクトシダーゼ(SA-βgal)の発現を抑制することが示されました。このことから、レモングラス葉に筋肉の抗老化作用がある可能性が示唆されました。
ゼブラフィッシュの利用
ゼブラフィッシュは、その研究の中で非常に優れたモデル生物とされています。これは、哺乳類の老化プロセスに似ているため、個体レベルでの老化研究や抗老化素材の探索に非常に有用です。このような背景から、本研究においてもその特性を利用しました。
研究成果の意義
この研究成果は、今後、筋力低下や加齢関連疾患の予防支援につながる新たな製品やサービスの開発に活用される見込みです。地域の未利用資源を有効活用することで、さらなる健康的な生活を支える製品が生まれることが期待されています。
共同研究の経緯
このプロジェクトは、三重大学とロート製薬が2018年に締結した共同研究に基づいています。地域との協働の重要性を訴え、問題解決に向けた取り組みを進めています。科学的根拠に基づく素材の価値創出を目指し、地域貢献とウェルビーイングの両立を実現しようとしています。
まとめ
今回の新たな発見は、三重県のレモングラス葉が持つ抗老化作用の可能性を示すもので、健康寿命の延伸を目指す上で重要なステップとなります。2025年には第9回日本老年薬学会において、ポスター発表が予定されており、多くの関心が寄せられることでしょう。地域資源のさらなる活用が期待される中、この研究が一つのモデルケースとなることを願っています。