CO₂資源化触媒の革新
2025-12-05 10:12:56

FRP-MOF触媒によるCO₂資源化と水素キャリア開発の高速化

FRP-MOF触媒によるCO₂資源化と水素キャリア開発の高速化



横浜市立大学大学院の立川仁典教授、岐阜大学の宇田川太郎准教授らの研究チームが、国際共同研究を通じて画期的な成果を発表しました。この研究は、タイの複数の大学とのコラボレーションによって行われ、Frustrated Lewis Pair(FLP)を用いたMetal-Organic Framework(MOF)触媒によるCO₂水素化反応のメカニズムを明らかにしました。特に、FLP触媒の酸性度を基準にすることで、触媒性能を素早く予測できることが判明しました。

研究成果の詳細


本研究の成果は「International Journal of Hydrogen Energy」に掲載され、以下のポイントが挙げられます:
  • - FLP-UiO-67-MOFの反応機構を解明
  • - 独自の手法を開発し、水素原子核の量子効果を調査
  • - 官能基の電子的性質とFLP酸性度から触媒活性を予測可能に

研究の背景


私たちの社会が持続可能性を目指す中で、CO₂の回収および資源化は重要なテーマです。その中でも、CO₂をギ酸(HCOOH)に変換する水素化反応は、可逆的で安全な水素キャリアとしての価値が期待されています。FLPは金属を使用せずにH₂を活性化できる特異なシステムであり、MOFと組み合わせることで高効率の不均一触媒が実現できる可能性が示されました。

この研究では、FLP–UiO-67-MOF系における様々な官能基を比較し、H₂の活性化やCO₂水素化における効率の鍵となる特性を探求しました。

反応機構の理解


FLP触媒の性能は、例えばH₂の活性化やCO₂の水素化反応の進行において、その酸性度に強く依存しています。また、水素原子核の量子力学的性質が反応における重要な要因であることも解明され、その要素がこれまでの理解を新たにする示唆を与えています。特に使用された多成分系密度汎関数理論(MC_DFT)は、これらの量子効果が反応の活性化にどのように影響するかを示しました。これにより、反応をより効率的に進行させられることが期待されます。

今後の展開


本研究の成果はFLP–MOFにおける新たな設計戦略を提示し、CO₂資源化や水素キャリア開発に広く応用できると見込まれます。特に、ヒドリド付加エネルギーという指標を利用したスクリーニング手法が導入されたことで、多くの材料を短時間で評価することが可能になります。

研究費と論文情報


この研究はJST NEXUSの支援を受けて行われました。論文タイトルは「Unraveling H₂ dissociation in CO₂ hydrogenation on frustrated Lewis pair-functionalized UiO–67: DFT and nuclear quantum effects」で、著者には多国籍の研究者が揃っています。今後の触媒設計の高度化に向けて、さらなる進展が期待されます。


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