アルナイラム社、ATTR-CM治療薬vutrisiranの第III相HELIOS-B試験で肯定的なトップライン結果を発表
アルナイラム社、ATTR-CM治療薬vutrisiranの第III相HELIOS-B試験で肯定的なトップライン結果を発表
RNAi治療薬のリーディングカンパニーであるアルナイラム社は、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)のRNAi治療薬として治験中のvutrisiranの第III相HELIOS-B試験で、主要評価項目とすべての副次評価項目において統計的に有意な改善を示したことを発表しました。
HELIOS-B試験は、全体集団と単剤投与集団の両方で、全死因死亡と再発性心血管イベントの複合イベントを有意に減少させました。特に、単剤投与集団では、複合イベントを33%減少させるという結果が得られました。
さらに、事前に指定された副次評価項目においても、全体集団と単剤投与集団での全死因死亡をそれぞれ36%、35%減少させるという結果が得られました。
vutrisiranは、6分間歩行テスト、カンザスシティ心筋症質問票、NYHA分類など、疾患進行の主要な指標においても臨床的に有意な効果を示しました。これは、vutrisiranがATTR-CM患者の機能改善と生活の質向上に貢献する可能性を示唆しています。
注目すべきは、ベースライン時にtafamidisを投与されていた群を含むすべての主要なサブグループで一貫した効果が観察されたことです。これは、vutrisiranがATTR-CMの幅広い患者群に対して効果を発揮する可能性を示しています。
安全性に関しては、HELIOS-B試験では、vutrisiranは確立されたプロファイルと一貫して、有望な安全性と忍容性を示しました。有害事象(AEs)、重篤なAEs、および治験薬の投与中止に至ったAEsの発現率は、vutrisiran群とプラセボ群で同程度でした。
アルナイラム社のチーフメディカルオフィサーであるPushkal Garg氏は、「HELIOS-B試験の圧倒的に肯定的なデータについて喜ばしく思います。トランスサイレチン型心アミロイドーシスは、着実に進行し、身体的に衰弱させ、死に至ることも多い疾患です。今回のデータは、トランスサイレチン型心アミロイドーシスの患者さんのニーズに応える可能性を示唆しています。」と述べています。
アルナイラム社は、この肯定的な結果に基づき、米国にて優先承認審査制度を使用した医薬品承認事項変更申請を提出する予定とのことです。
vutrisiranとは
vutrisiranは、トランスサイレチン(TTR)タンパク質の産生を阻害することで、ATTR-CMの進行を抑制するRNAi治療薬です。3カ月に1回の皮下注射で投与されます。
ATTR-CMについて
ATTR-CMは、ミスフォールドされたTTRタンパク質が心臓に蓄積することで、心臓の機能不全を引き起こす疾患です。
今後の展望
今回のHELIOS-B試験の結果は、vutrisiranがATTR-CMの治療において新たな標準治療となる可能性を示唆しています。今後の規制当局の承認が期待されます。