日本のミレニアル世代におけるサイバーセキュリティ職の関心の低さとその課題

サイバーセキュリティ職への関心が低下する日本の現状

近年、サイバーセキュリティは企業や国にとって喫緊の課題となっていますが、その分野で必要とされる人材の確保が世界的に難しくなっています。アメリカのレイセオン社が実施した意識調査によると、日本のミレニアル世代（18～26歳）のサイバーセキュリティ職への関心が、国際平均を大きく下回っていることが明らかになりました。調査結果は衝撃的で、日本の若者のサイバーセキュリティに対する無関心が窺えます。

調査結果の詳細

日本に限った調査結果によると、サイバーセキュリティ職に興味を持つのはわずか21%であり、これは12か国の中で最も低い数字です。この結果からも、日本のミレニアル世代がこの分野でのキャリア形成に対して関心を抱いていないことが分かります。この実態により、未来のサイバー専門家としての成長が危ぶまれています。

さらに調査によると、76%のミレニアル世代はサイバーセキュリティに関連する研修や奨学金、就職説明会を探したことが一度もないとのこと。この点は特に問題視されており、情報の不十分さが関心の低さにつながっていると考えられます。

教育システムの影響

調査はまた、中高生のときにサイバーセキュリティについて知らなかった日本のミレニアル世代が多いことを示しています。特に女性にこの傾向が表れています。日本のミレニアル世代の62%は、担当教員など大人からこの分野の職業について話を聞いたことがないと回答しています。また、79%が自分の学校でサイバーセキュリティに関する教育プログラムが不足していると感じています。

教育システムがこの分野への興味を喚起できていない現状が、今後の人材育成の障壁となっていると言えるでしょう。加えて、58%の若者がオフラインでの安全性に関する議論を一度も経験していないことも、前述の数字をさらに裏付けています。

解決策と期待

この場面を打破するためには、いくつかの方策が求められます。まず、サイバーセキュリティ関連の就職情報を増やし、学生たちにこの分野でのキャリアの魅力を伝えることが重要です。さらに、女性のキャリア形成を支援するための取り組みを行い、次世代に向けた育成プログラムを充実させることも課題です。

レイセオンの社長、ロバート・V・モリシー氏は、日本が今後必要とされるサイバー専門家を育成することが喫緊の課題であると強調しています。特に、2020年の東京オリンピック・パラリンピックなど国際的なイベントが目白押しである日本は、対策の強化が求められています。