アルバイト従業員のSNS利用に関する調査結果が示す不安の実態とは
ディップ株式会社のディップ総合研究所と株式会社アイリッジが行った調査によると、アルバイト従業員の42%が個人的なSNSを業務連絡に使用されることに対して、不安を抱いていることが分かりました。この調査は、15歳から49歳の男女約14,000名を対象に、「コミュニケーションにまつわるアルバイトのEX(従業員体験)についての調査」を実施した結果です。
調査の背景
夏休みに入ると、学生を中心としたアルバイト活動が盛んになります。この時期は、特に人手不足やスホットワークの増加に伴い、アルバイト同士のコミュニケーションが重要になってきます。しかし、個人的なSNSでの業務連絡が常態化しており、未成年の自分たちのプライベートにも影響を与える状況が多く見受けられます。このような背景から、つながらない権利の侵害についての懸念が高まっています。
つながらない権利とは
「つながらない権利」とは、勤務時間外や休日において業務関連の連絡を拒否する権利のことです。この権利は、以前からフランスで法制化されており、業務連絡に関する合意を築くことが求められています。しかし、日本ではこの意識が浸透していないのが現状です。
調査結果の概要
本調査の結果、次のようなデータが明らかになりました:
- - 学費や貯金を目的に、44%の学生が夏休みにアルバイトを増やすかもしれないと回答。
- - アルバイト全体の中で、40%以上が個人SNSを利用した業務連絡に対して問題を感じている。
- - 具体的には、46.9%がプライベートな時間に仕事の連絡が行われることを避けたいとの回答が多数を占めていました。
特に、10代 の回答者は「SNSは個人的なつながりのために使いたい」と考える人が多く、プライバシーを守りたいという声が強いことが示されています。
SNS利用におけるトラブル
実際の体験で、アルバイト従業員の中では、個人的なSNSでの業務連絡に対する問題は多くの人が経験しています。最も多かったトラブルは、業務時間外に送られてくるメッセージで約40%が経験したとのこと。そのほか、やむを得ず個人アカウントを教えなくてはならなかったという人が33.1%も存在し、職場環境がプライバシーにどのように影響を及ぼしているのかが浮き彫りになっています。
管理者の認識のズレ
調査では、アルバイトを管理する側の意識とも乖離が見られました。アルバイト従業員が多く活動する7つの業種の管理者を対象にした調査で、半数以上が個人SNSに関して問題意識を持っていましたが、実際にはLINEなどのプラットフォームを通じてコミュニケーションが行われている現状も指摘されています。
今後の取り組み
このような状態を踏まえ、企業とアルバイト間でのコミュニケーションには透明性が求められています。特に、プライベート時間における業務連絡についての合意形成が重要です。双方の意見を尊重しながら、柔軟な働き方を推進するためには、専用のビジネスチャットツールの導入も一つの手段となります。
コメント
ディップ総合研究所の研究員である森亜由葉は、アルバイト従業員のプライベートな空間に配慮した環境作りが必要であると強調しています。企業は、アルバイトコミュニケーションの改善に向けて、双方が気持ちよく働ける環境整備が求められます。今後も、サステナブルな職場環境を作るために、コミュニケーションの質を高めるよう努めていく必要があります。
調査概要
- - 調査名: コミュニケーションにまつわるアルバイトのEXに関する調査
- - 対象: アルバイトをしている15歳から49歳の男女
- - 調査期間: 2024年7月8日〜2024年7月16日
- - サンプル数: 約14,000名
この調査結果は、働き方の多様化や物価高騰の影響を反映しており、アルバイト従業員が安心して働き続けるための環境整備が必要であることを示唆しています。