新たな送電設備点検を実現するアプリ『POWER GRID Check』の進化

株式会社センシンロボティクスは、中部電力パワーグリッド株式会社と手を組み、AI技術とロボティクスを駆使した変電所向け遠隔巡視アプリケーションの開発に力を入れています。この新プロジェクトは、変電所の保全業務を革新するもので、両社の協力により、送電設備の点検作業の効率化が期待されます。

これまでに、両社は変電所のスマート保全を実現するため、ロボティクスとAIを組み合わせた技術の開発に努めてきました。その成果の一環として、ドローンを用いた送電設備の点検技術が実用化され、業務アプリケーション『POWER GRID Check』として2021年から運用を開始しています。このアプリケーションにより、高い操縦スキルを必要とせず、点検作業やデータ取得を自動化し効率的に行うことが可能となりました。

自動点検技術の進化

『POWER GRID Check』は、変電所に特化した巡視ルートの自動生成技術を今後の開発により実装する予定で、これまでのAI技術を活かしたアプローチが行われます。特に、変電所という特異な環境においても安定してデータを取得できるように設計されたSkydio社製のドローン（Dock for X10）が採用されており、性能に信頼性を与えています。

昨年度、センシンロボティクスは独自のアプリケーション開発プラットフォーム『SENSYN CORE』とSkydio社のクラウドプラットフォーム『Skydio Cloud』の連携を完了させ、これにより『POWER GRID Check』で作成した飛行ルート情報を直接クラウドへ転送できるインターフェースを構築しました。この進展により、手動での飛行ルート作成が不要になり、作業の工数削減や品質の一定化が実現されます。

さらに、現在のプロジェクトでは映像配信アプリケーション『SENSYN CORE Monitor』と『Skydio Cloud』とのデータ連携が進められ、リアルタイムでの映像とテレメトリー情報の転送にも成功しています。この機能が開発に組み込まれることで、ユーザー体験がさらに向上することが期待されています。

今後の展望

センシンロボティクスは、『POWER GRID Check』の適用範囲を送電設備だけでなく、変電設備にも広げていく方針です。これにより、一般送配電事業全体への適用に向けた取り組みを進め、現場環境に応じた最适な点検手法の選定や使用機器の拡充を目指します。

『POWER GRID Check』は、単なる技術開発にとどまらず、社会の持続可能性を高め、労働力不足や安全に関する課題を解決するための重要なツールとなるでしょう。センシンロボティクスはそのミッションの下、AIを駆使して社会のインフラを進化させるための活動を継続していきます。