無人航空機の国際規格
2025-05-08 10:41:20

無人航空機の安全性向上へ、国際規格ISO15964が発行される

無人航空機の安全性向上へ、国際規格ISO15964が発行される



無人航空機の衝突回避技術に関する国際規格「ISO15964」が、2025年4月25日に国際標準化機構(ISO)から正式に発行されました。この規格は、日本から提案された内容をもとに、無人航空機の運用を安全に行うための基準を設定しています。日本無線株式会社や日本アビオニクス株式会社、株式会社ACSL、株式会社三菱総合研究所などの企業が共同で取り組んだ成果が結実した形となります。

この規格は、無人航空機と有人航空機との衝突を避けるために必要なセンサーの要件や運航手順を具体的に定義しています。特に、NEDOが実施した「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」(通称NEDO DRESSプロジェクト)の成果が規格化に寄与し、衝突回避手段の標準化に向けた課題が解決されました。

複雑な空域における無人航空機の役割



近年、無人航空機(ドローン)は農業や災害時の支援、物流など多岐にわたる分野で利用が進んでいます。しかし、有人航空機との衝突リスクが高まる中、ドローンの安全運用を確保することは急務です。実際に、日本国内でも無人航空機とドクターヘリとのニアミス事例が報告されており、その問題解決が求められています。

NEDO DRESSプロジェクトでは、2017年度から無人航空機の衝突回避技術の研究が始まり、さまざまな実証実験が行われました。これにより、衝突回避手順に関する研究成果が蓄積され、2023年10月には「ISO 21384-3:2023 Unmanned aircraft systems Part 3:Operational procedures」に新たに衝突回避運用構想が追加されました。これにより、6ステップからなる衝突回避手順が制定され、今後の技術運用の土台が固められました。

規格ISO15964の内容と影響



本規格ISO15964は、無人航空機の衝突回避システムの基本アーキテクチャを規定し、短距離および中長距離の衝突回避に対応する設計が盛り込まれています。特に、有人航空機との衝突を想定した中長距離のユースケースに対しても規定が行われています。これにより、業界全体で共通の理解を持って技術開発を進めることが可能になります。

また、ドローンに搭載されるセンサーの役割や探知距離が明確に定義されており、これまで個別に進められてきた無人航空機の開発が規格に基づいて統一的に進められることが期待されます。

未来に向けた期待



無人航空機の衝突回避手順が国際的に標準化されたことにより、今後、規制当局による法制化が進むとともに、航空の安全性がさらに確保されることが見込まれています。これにともない、ドローンがさらなる活躍の場を得て、省エネルギー社会の実現に寄与することが期待されています。

国際規格ISO15964の発行は、無人航空機に新しい時代をもたらす一歩であり、今後の技術開発や社会実装の加速に寄与するでしょう。企業や研究機関はこの機会を活かし、安全性の高い無人航空機の普及に努めていく必要があります。


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会社情報

会社名
株式会社三菱総合研究所
住所
東京都千代田区永田町2-10-3
電話番号
03-5157-2111

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