新たな農作物の価値を創出する直売所
山梨県の笛吹市に位置する新しい「ジェラート・干し芋」の工場と直売所が、2025年5月2日(金)にグランドオープンします。この新しい拠点を運営するのは、障害者の就労支援や地域商社事業などを手掛けるKEIPE株式会社です。
この工場の設立は、地域の農家さんたちが抱えるさまざまな課題に対する解決策を提供するためのものです。特に注目すべきは、規格外品に新たな価値を与えるというテーマです。農家さんたちは高品質な作物を栽培していますが、時には規格に合わないために作物が廃棄されてしまうこともあります。このような状況を改善すべく、KEIPEは「企画で規格を超えていく」をモットーに、農作物を余すことなく利用し、地域社会に貢献することを目指しています。
オープンの背景 - 農家支援の想い
地域商社事業部の部長、飯室和希さん(31)は、桃農家の出身であり、多くの農家が抱える「後継者不足」や「規格外品の行き場がない」といった問題に思いを馳せてきました。飯室さんは、規格外の桃の販売を試みることで、農家と消費者の新たな関係を築く道筋を見つけました。この経験から、2020年に地域商社事業をスタートさせ、直売所を立ち上げることで、農作物の価値を上げ、農家が安心して生産活動に専念できる環境を整える意義を強く感じています。
直売所で扱う商品は、無添加・砂糖不使用のドライフルーツや、自社工場で製造された甘みの強い国産さつまいも干し芋、国産フルーツを使用したジェラートなど多岐にわたります。また、フルーツの生産者および消費者を直接つなぐ「顔の見える関係」を重視しており、農家から直接仕入れることを通じて信頼関係を築いています。
体験型の魅力 - ガラス張りの工場
この新しい直売所では、訪問者が製造過程を観察できる「ガラス張り」の工場設計が特徴です。子供たちにとっても楽しめる環境を提供し、次世代に希望を抱かせることが目的とされています。フードロス削減や、農作物が加工される瞬間を身近に体験できることで、訪れる人々に新たな啓発を促します。
また、内覧会が2025年4月25日(金)に開催され、メディア関係者を招待して工場や直売所を体験してもらう予定です。この特別な機会を通じて、KEIPEの理念や取り組みを広く知ってもらい、一般公開は5月2日からとなります。
地域社会への貢献
KEIPEの取り組みは、障害者雇用の推進や地域課題の解決を目指すソーシャルベンチャーとしての側面も持っています。農業と福祉がつながり、地域社会の中で新たな価値を創出することが期待されています。JAや他の生産者とのパートナーシップを深め、様々な生産物を全国的に取り扱う拡大計画も視野に入れています。
このプロジェクトが成功することで、農家が安心して生産できる環境の実現とともに、地域経済の活性化が見込まれます。新たにオープンする「ジェラート・干し芋」の工場と直売所は、農業と地域のつながりを深め、持続可能な社会づくりに貢献していくでしょう。