マイクロ波外科手術用デバイス「アクロサージ」の紹介
外科手術の現場に新たな革命がもたらされようとしています。「アクロサージ」というマイクロ波外科手術用デバイスは、世界で初めての製品化に成功しました。このデバイスは、電子レンジと同じ波長の2.45GHzのマイクロ波を利用しており、施術中の高い止血能力を誇ります。
アクロサージの仕組みと特徴
アクロサージの最大の特徴は、マイクロ波が生体内の水分子に直接作用し、熱エネルギーを発生させる点です。これにより、手術中に生体の内部状態を判断しやすくなり、効率的な施術が可能となります。また、デバイスはハサミ型、鑷子型、プローブ型のディスポーザブルデバイスを製品化しており、操作が非常に簡便です。
1.
止血の精度: 微細なマイクロ波照射が組織に均一に作用し、ムラのない凝固を実現。
2.
熱損傷の軽減: 限局された部分にのみマイクロ波を照射できるため、周辺組織への熱損傷を最小限に抑えます。
3.
術野の視認性向上: マイクロ波の作用中に煙やミストがほとんど出ないため、手術中の視界がクリアであり、施術者にとって非常に良好な環境を提供。
手術フローの変化
従来の外科手術では、複数の器具を持ち替えながら手技を進めてきましたが、アクロサージでは、皮下組織の切離から脈管の切断や封止までを一つのデバイスで行えるため、手術時間が大幅に短縮されることが期待されています。これにより、術者のストレスだけでなく、患者のリスクも軽減されるでしょう。
競合技術との比較
アクロサージと他のエネルギーデバイス(超音波デバイスや高周波デバイス)との比較を行うと、熱損傷や切離スピード、止血効果などにおいてアクロサージの優位性が際立ちます。このデバイスは、今後の外科手術において重要な役割を果たすことが期待されます。
臨床での実績と期待
アクロサージはすでに複数の医療機関に導入されており、医師からも高い評価を受けています。
- - 滋賀医科大学の谷 徹特任教授は、アクロサージの導入が手術の安全性と効率を大幅に向上させていると述べています。
- - 国民健康保険小松市民病院の村上院長も、手術器具の持ち替えが不要になることで、術者、助手、看護師の負担を大きく減らすと期待を寄せています。
今後の展望
今後は、アクロサージに対応したディスポーザブルデバイスのラインアップをさらに充実させる予定です。日本の医療機器が海外に依存しなくなる可能性もあり、医療の質の向上に寄与するとともに、貿易赤字の解消にも役立つことでしょう。
一連の技術革新を支えているのは、日機装株式会社の開発陣であり、日本の伝統的なモノづくり技術を基盤にした高精度・高性能な製品です。この技術の進化によって、外科手術の未来が大きく変わることが期待されています。