企画展「運河で生きる ~都市を支えた横浜の“河川運河”~」
横浜は開港後、港湾都市として発展し、その影響は多様な資料によって色濃く残されています。特に、河川を利用した輸送の様子は、浮世絵や絵葉書、地図などの中に鮮明に描かれており、当時の横浜の賑わいを伝えています。この度、横浜都市発展記念館で予定されている企画展「運河で生きる」では、横浜の成長と共に歩んできた“河川運河”に焦点を当て、その形成、成長、衰退、そして復活の過程を解き明かします。
河川運河の役割と重要性
都市横浜の成長を支えた“河川運河”は、大岡川、中村川、堀川、帷子川など、現在も流れる河川と、埋め立てられた吉田川や派大岡川などが含まれます。これらの運河は、横浜市街地を縦横に走り、横浜港に注ぎ込むことで、東京湾を介して他地域と結ぶ重要な輸送ネットワークを形成していました。このネットワークのおかげで、河川を利用した艀(はしけ)や汽船は、物資の輸送において重要な役割を果たしました。
河川運河周辺には問屋や造船所などの様々な商業施設が立ち並び、これが戦前・戦後の横浜経済を支える大きな要因となりました。しかし、1960年代から70年代にかけて、都市の急速な発展に伴い、これらの河川は新たな開発の対象とされ、衰退の道を辿ります。特に交通手段の革新や水質問題は、河川運河にとって大きな打撃でした。
復活の兆し
とはいえ、河川運河は単なる衰退にとどまらず、平成以降の都市計画において、親水空間として再び注目され始めます。市民の生活に密接に関わる場所としての価値が認識され、運河の復活へと繋がっていきます。この展覧会では、河川運河の歴史に触れるとともに、そこで生きた人々のストーリーにも光を当て、地域の歴史と文化に深く根付いている様子を伝えます。
展覧会の基本情報
本展の会期は2025年1月18日から4月13日までとなっており、開館時間は9:30から17:00(券売は16:30まで)です。毎週月曜が休館日で、祝日の場合は翌平日が休館となります。観覧料は一般800円、小中学生・市内在住の65歳以上は400円で、事前申込み不要の展示解説や、資料に基づいた連続講座なども用意されています。
主な展示資料と見どころ
- - 戦後の河川で生きる人々の姿を映した写真の展示 : 戦後の写真を数多く取り揃え、当時の生活を伺い知ることができます。
- - 水運輸送に用いた船の模型 : 運河で使用された船舶の模型や道具が展示され、具体的な生活シーンを想像させます。
- - 艀に関する資料 : 荷物運搬のための艀の活躍を示す貴重な資料が公開されます。
- - 横浜以外の地域に残る運河関連資料の紹介 : 東京や千葉などの資料も展示され、横浜の運河が広域にわたる影響を持っていたことがわかります。
関連企画の紹介
展覧会に合わせて、展示解説や連続講座、ボートによる運河散策などの関連企画も開催されます。これらのイベントを通じて、参加者は河川運河の歴史だけではなく、地域との繋がりを深めることができるでしょう。
いかがでしょうか。横浜の河川運河がどのように街を支え、そして人々の生活と密接に結びついていたのか、その歴史をぜひご覧ください。