大日本印刷、ユーザーのニーズに応えた「じぶんフォント」を提供開始
大日本印刷株式会社(DNP)は、2025年に提供予定の「じぶんフォント」を発表しました。このフォントは、読み書きに困難を抱える人々、特に発達性ディスレクシアを含む様々な特性に適応することを目的に開発されました。フォントのライセンス提供は、DNPグループの株式会社DNPアートコミュニケーションズを通じて行われる予定です。
読みにくさを解消するための取り組み
読み書きの困難を抱える方々のニーズに合わせたフォントの開発が始められた背景には、ディスレクシアという学習障害が存在します。この障害を持つ子どもは、日本国内での推計により3%から8%に及ぶとされており、特に時間がかかるために学力テストや情報収集において本来の力を発揮できないケースが多いことが問題視されています。
DNPは、東京工業大学やファシリティジャポン株式会社、リアルタイプとの協力のもと、多様な読み書き特性を持つ人々に向けた読みやすいフォント「じぶんフォント」の開発に取り組んできました。
「じぶんフォント」の特徴
「じぶんフォント」は、異なる読み書き特性に合わせた4種類のフォントが用意されており、文字の形状を以下の4つに分けています。
1.
太めの下部(どっしりまるご)
2.
細め全体(すっきりまるご)
3.
縦長で太め(はっきりまるご)
4.
中庸な形(まるご)
また、他のフォントにはない手書きに近い形状を保ちつつ、読みやすさを考慮した点も特徴の一つです。
DNPは「じぶんフォント」を、特にひらがなを含む形状において改良を施し、誤読しにくい設計を追求しています。具体的には、仮名の形状を変更し、視覚的な混同を避ける工夫を行いました。
「MYdys」アプリとの連携で広がる可能性
読み書きに困難がある人向けのサポートアプリ「MYdys」への実装も含まれており、撮影した文字情報をアプリが自動で認識し、読みやすいようフォントやサイズを調整します。このアプリによって、利用者はより利用しやすい印刷物や看板などが得られることが期待されています。
インクルーシブな社会の実現へ向けて
DNPグループは、「じぶんフォント」のライセンスを通じて、企業や団体向けにさらなる展開を図る意向を示しています。今後は、ユーザーからのフィードバックを取り入れて、より多くの読み書き特性に配慮したデザインを進め、「ユニバーサル社会の実現」へ向けた取り組みを強化する考えです。
「じぶんフォント」は、読みやすさを犠牲にせず、すべての人に平等な情報アクセスの場を提供することを目指しています。これにより、学びやすさと生活の質向上を両立させた新しいインクルーシブな社会の実現が期待されています。
注: 「じぶんフォント」はDNPの登録商標です。使用される会社名や商品名は、各社の商標・登録商標です。